秀岳館サッカー部問題…約2時間の会見でも晴れなかった疑念と自浄能力欠如…38件の暴力行為発覚も段原監督は「知らなかった」
サッカー部の男性コーチの暴行問題から次々と新たな疑惑や事件が浮上していた私立秀岳館高校が5日、熊本県八代市の同校で記者会見を開いた。4月20日の騒動発覚から16日目にしてようやくの対応だった。 体育館で行われた会見には中川靜也校長をはじめ鶴浜邦一法人本部事務局長、白井勇、渡部久義両教頭、校長補佐も務めるサッカー部の段原一詞監督が出席。 約2時間におよんだ質疑応答で、部員たちが顔と実名をさらした謝罪動画公開への段原監督の関与と、過去2年あまりの間に暴力行為が今回以外に計38件あったことが明かされた。 暴力の常態化を否定していた同監督は、会見でも「知らなかった」と釈明。質疑応答が詰まるたびに「責任は私にある」や「申し訳ない」を連発し、謝罪動画をめぐる認識の食い違いや自宅謹慎中の自身の進退を問われたときには言葉を濁すなど一連の問題に対する同校の自浄能力のなさがかえって浮き彫りになった。
生徒の謝罪動画投稿に段原監督が関与
スーツにネクタイ姿で登壇した秀岳館高校上層部の5人のなかで、向かって一番左側にいた段原監督の姿だけは異様だった。白井、渡部両教頭らが質疑応答する間は背筋をピンと伸ばし、目を閉じながら座り続ける。一転して自らが答えるときは、着座する他の4人と違って常に立ち上がった。 しかし、白いマスク越しの表情に何度も流れた大粒の汗は、追求の嵐が過ぎ去るのをひたすら待つ間におのずと抱えた緊張感の証としか映らなかった。 それだけ段原監督が発した言葉からは、誠意の類が感じられなかった。 その象徴が生徒の謝罪動画の問題だった。 キャプテンを筆頭に暴行を受けた部員、その様子を撮影した部員、SNSへ投稿した部員ら11人が顔と実名をさらし、部員たちが主体になって運営していたサッカー部の公式ツイッターやインスタグラムで4月22日夕方に公開された動画は当初、部員たちの希望で撮影および投稿したと説明されていた。 しかし、一連の経緯を説明した白井教頭は、謝罪動画が公開された前日の21日夜に、段原監督と4人の部員との間で話し合いが持たれ、その結果として「何らかのアクションを起こさなければならないとなり、動画を出そうとなった」と明かした。 最初は文字だけを流す動画が企画されたが、22日朝のミーティングをへて内容が大きく変わった。 後に段原監督の音声がネット上に流出し、席上で動画を撮影・投稿した部員2人が同監督から加害者と糾弾され、さらに「仲間の弁護士」や「損害賠償請求」という脅迫まがいの言葉を介してプレッシャーがかけられたミーティングだ。