秀岳館サッカー部問題…約2時間の会見でも晴れなかった疑念と自浄能力欠如…38件の暴力行為発覚も段原監督は「知らなかった」
学校側の説明では、最初はキャプテン、被害者、撮影者、投稿者の4人による動画は段原監督の指示で11人に増加。撮影のポイントだけでなく、さらに「悪いことをしているのではないのだから、マスクを取って撮り直した方がいい」と助言された。 顔と実名をさらした異例の動画は、再生回数が100万回を超えていた翌23日の正午すぎに学校側の指示で削除された。 しかし、ネット上に一度投稿され、拡散された情報の完全消去は不可能だ。 部員たちがさらされ続けるリスクを「考えなかった」と明かした段原監督は当初、公開されるまで動画の存在を知らなかったと語っていた。 「生徒たちから『こうやりたい』と申し出を受けて同じ気持ちであったため、話し合いのなかで彼らに賛同して、行ったり来たりするような、キャッチボールという形で一緒に考えてきた。これが自分の回答になっていた、というのが事実です」 謝罪動画への関与をこう説明した段原監督は、当然ながら「なぜ隠していたのか」と、結果的に嘘をついていた理由を問われた。答えは的を射ていなかった。 「僕があらかじめ知っていたらいけないと思ってそう回答した。尊重したことがすべてであり、隠したわけではない。でも、結果としてこうなったことは申し訳ない」 生徒の意思を尊重したと言えば聞こえがいいが、その実は責任の比重を部員側へ導かせていると言っていい。監督と部員のどちらが主導したのか、と問われた学校側も「生徒によって受け取り方は違う」と要領を得ない答えを残している。 しかし、2001年に就任し、今年4月からは校長補佐も務める49歳の段原監督の絶対的と言っていい存在感を考えれば、たとえ助言の類だったにしても、部員たちの心理状態に影響を与えた段原監督の言動はもっと咎められるべきだろう。 一連の問題の発端となった30代の男性コーチによる暴行に対しても、段原監督は「暴力は根絶されるべきものと認識している。あってはならない」と、日本テレビ系の朝の情報番組「スッキリ」に生出演したときと同じ言葉を繰り返した。 しかし、学校側が全校生徒約1000人へ先月下旬に実施したアンケート調査で、サッカー部内の暴力行為が今回以外に38件確認された。書類送検された男性コーチによるものが24件、別のコーチによるものが1件、部員同士によるものが13件となっている。