シャッター商店街を福祉施設に!? 子どもも高齢者も障がい者も、家族のように過ごす”街の家”「春日台センターセンター」神奈川県愛川町
しかし、事件がおきたことで「むしろもっとセキュリティを強化するべきなのじゃないか」「壁や塀を取り払ったら利用者が外に出て行ってしまうのでは」と職員は壁を取り払うことに躊躇していたそうです。 皆を説得し、壁を取り払ったことにより、それまでは想像していなかった世界が待っていました。 「ミノワホームの近隣には、保育園があるんです。でも壁があった時には子どもたちがホームの前を散歩をしていることに気づかなかったんですね。子どもは壁より小さいので見えなくて。 ところが壁を取って庭を開放してみたら、自然と保育園の子どもたちに気づくようになり、子どもたちも気づけばホームの庭を使うようになったんです。
お年寄りと子どもたちの距離が近づくと、これまでは行事などでしかなかった交流が自然発生しはじめたのです。 壁があったら互いのことを気にかけることもなかったですよね。その互いに補い合う関係性は壁を壊すことによってプラスとなったのです」(将和さん) このミノワホームでの経験があったからこそ、春日台でも仕切りのないオープンな空間をつくりたいと思い至ったそうです。
やりがいのある就労環境と社会とのつながりを
春日台センターセンターは就労支援の場をもっと楽しくやりがいがあり、利用者が直接的に地域の人と関われる場にしたいと考えました。それが「春日台コロッケ」と「洗濯文化研究所」です。それぞれ就労支援B型施設、A型施設として運営されています。
洗濯文化研究所の誕生のきっかけは利用者の家族のひとことでした。 「利用者の家族にとって、日ごろの介護やケア、さらに家事は負担だという声も聞きます。ご家族やここに立ち寄るついでに洗濯を人にお願いできて、少しでも楽になってほしいという思いがここには込められています」(将和さん)
そのかたわらで、就労支援としてのあり方を変えたいという思いもあったと話します。 「就労支援施設は、作業内容がある程度固定されることから、できる業種がこれまで限られてきました。障がい者が働ける場所がない、人と触れ合う場面がないという課題を解決したい、さらには市場における正当な価格でのサービスや商品を提供することで、利用者に利益を還元し、やりがいと社会へのつながりを持てる事業の必要性を感じ、”洗濯代行サービス”の立ち上げに至りました」(将和さん) ガラス張りの施設は、誰でもふらりと入ることができ、いつでも声かけができる環境。スタッフとして働く男性は「まだまだ慣れないことが多いけれど、地域の人との会話が楽しい。仕事もやりがいがあると感じている。何よりこの施設の環境が好きです」と話します。
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