シャッター商店街を福祉施設に!? 子どもも高齢者も障がい者も、家族のように過ごす”街の家”「春日台センターセンター」神奈川県愛川町
春日台センターセンターには複数のスペースを設けています。1階には、障がいのある子どもが通う「放課後等デイサービス『カスガダイ凸凹文化教室』」に、認知症対応型共同生活「KCCグループホーム」と、小規模多機能型居宅介護の「KCCショータキ」が並びます。どちらも仕切りはなく、一つの家の中に共存しているかのようにスペースがあり、大人も子どもも行き来する姿が印象的。自然な会話とやりとりがそこかしこで生まれています。
「放課後等デイサービス『カスガダイ凸凹文化教室』」を利用する子どもたち。取材をする私たちに人懐っこい笑顔を見せ、話しかけてくれる。
2階には子どもたちのための寺子屋やシェアオフィスなどがあり、地域の小中高生が集まります。 ところどころにベンチやカウンター、縁側があり、塀や仕切りがないため誰でも出入りができます。もちろん随所に個室もあり、一人で過ごしたい人のためにも空間が用意されています。
不登校や居場所を探す子どもたちを支援する寺子屋の授業。オンラインでも中継しながら毎週水曜日に学習支援を行う。
誰かと話したい時も、遊びたい時にも。一人になりたい時にも。ちょっと美味しいコロッケをつまみたい時にも。自分が思い描く過ごし方をここではつくることができます。
自由にのびのびと過ごす場所を再びつくる必要がある
施設がある神奈川県愛川町は、厚木市と相模原市の間にはさまれた人口3万9千人の小さな町です。最寄駅は町内になく、海老名駅などから発車するバスを利用するか、生活インフラとして車が欠かせないエリア。町内にはいくつかの工業団地があり、ベッドタウンとして街の歴史をつくり上げてきました。 愛川町は高齢化率がすでに30%を超えており、さらなる高齢化と生産人口の減少が予想されることで悩んでいました。
春日台センターセンターを運営するのは社会福祉法人愛川舜寿会。きっかけとなったのは、理事長である馬場 拓也さんが、14年前、生まれ故郷である愛川町に久しぶりに帰郷した時に「商店街や街の寂しい変化ぶりにがっかりとした」ことだったそう。 拓也さんの弟で、グループホーム管理者の将和さんは当時ことをこう話します。 「すぐ近くの小学校で兄と少年野球の練習をして、終わったらここで駄菓子を買って遊んでいたという思い出があります。当時近くには病院があり、病院帰りの人たちがよく足を延ばすこのエリアは活気づいていました。ところが病院が閉鎖してからだんだんと人が減っていきました」
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