シャッター商店街を福祉施設に!? 子どもも高齢者も障がい者も、家族のように過ごす”街の家”「春日台センターセンター」神奈川県愛川町
商店街の目玉であったスーパーマーケットが2016年に惜しまれながら閉店。その後6年間も空店舗となり、すっかりと静けさが増す姿を見て、将和さんたちは先の絶望感を抱いたのでした。 「この風景をなんとかしたい」。愛川町をよくするために何をするべきか考える、ワークショップを住民と協働で結成。その後2022年に春日台センターセンターが立ち上がるまでおよそ6年もの間、意見を交わし続けます。 ちょうどそのころに「商店街のスーパー跡地を何かに使ってくれないか」という話が、スーパーマーケット跡地のオーナーから愛川舜寿会に寄せられました。 住民と話し合いを重ねる中で、福祉と児童、街を訪れる人たちの交錯する多世代・多様な人々が支え合う空間づくりをするべきだと思いが固まっていったのです。 「高齢化が進むと、新しい世帯ってどうしても減りがちじゃないですか。とはいえ子どもたちがいなくはないんです。人はやっぱり場所があればみんな集いたいんですよね。商店街が閑散としてしまっていたのは、子どもにとって行き場がなくなったから。そんな街並みをなんとかしたかったんです」(将和さん)
遮るものがなければ、人は自然と交流を始める
この拠点の最大の魅力は、単なるグループホームなどの介護施設ではなく、あらゆる世代に対応可能なサービスを重ね合わせることで、人々が行き来できるようにしているところ。なぜあえて人を交錯させるのでしょうか。そこに馬場さんたちのこだわりがありました。 「2016年に相模原の『津久井やまゆり園』で起きた障がい者殺傷事件のことを覚えていますか。その事件をきっかけに、私たちは従来から運営していた特別養護老人ホーム『ミノワホーム』を囲っている壁や塀を取り払ったのです。 壁や塀などがあることで”世界”が囲われてしまい、外の人たちとつながるきっかけをうばい、彼らのコミュニケーションのきっかけをよけいに閉ざしていると感じたのです。あの事件は壁がなかったらもしかしたら違ったかもしれないとニュースを見て歯がゆく苦しい思いを抱きました」(将和さん)
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