日本最高齢、16頭の父となったグルメなパンダを無事中国へ――飼育スタッフの試行錯誤と奮闘
今日4月19日は「飼育の日」。「419(しいく)」にちなみ、日本動物園水族館協会が定めた。動物園の人気者といえば、ジャイアントパンダを思い浮かべる人も多いだろう。2月、東京・上野動物園のシャンシャン、和歌山・アドベンチャーワールドの永明(エイメイ)、桜浜(オウヒン)、桃浜(トウヒン)の4頭が、中国へと旅立った。その後、パンダたちは元気に過ごしているのだろうか。中でもオスの永明は30歳で日本最高齢。これまでに16頭もの子をもうけたが、もともとはおなかを壊しやすく、丈夫な体ではなかったという。長年そばで見守ってきたアドベンチャーワールドの副園長や飼育スタッフに、飼育や繁殖の歩み、中国へ送り出した今の思いを聞いた。(Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
中国に到着後、いつものように竹を食べていた
「なんてったって、中国は日本より竹の種類が多いですから。タケノコも日本では春と秋に少し生えるくらいですが、向こうでは1年のうち8カ月も生えるそうで。永明はタケノコ大好きですので、おいしそうに食べる姿を想像したらうれしくなりますよね」 そうにこやかに話すのは、和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールド(以下、AW)の副園長・中尾建子さん。1988年に獣医師としてAWに入社し、94年に永明が日本にやってきて以来、パンダの飼育管理に携わってきた。 7年間パンダの飼育を担当し、永明たちのことを日夜考え続けてきた飼育スタッフの真柴和昌さんはこう話す。 「高齢のパンダを飼育するうえでの知識、経験が豊富な方は中国にたくさんいらっしゃいますし、永明にとっては過ごしやすいのかな、というのが正直なところです。桜浜、桃浜も繁殖のパートナーを見つけるためには、向こうへ行かないといけません。(成都双流国際)空港で中国のスタッフに引き渡した時、『これまで丁寧に育てていただいてありがとうございます。経験の豊富なスタッフが責任を持って世話します』と言葉をかけていただいて、安心しました」