つらい時に聴くと「自分を肯定してくれる」――緑黄色社会の音楽に集まる共感
昨年7月に結成10周年を迎え、NHK紅白歌合戦に初出場も果たした緑黄色社会。愛知県出身の4人組で、高校の同級生と幼なじみで組んだバンドだ。代表曲の「Mela!」はストリーミング再生が2億回を突破。10代、20代から支持を集め、つらい時に支えられたという声も多い。なぜ共感を呼ぶのだろうか。4人の思いを聞いた。(撮影:倭田宏樹/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
自分自身が悩んできたことを曲にする
「受験の時、この歌ほんとに心の支えになるな」 「就活中だけど、聴くとすごくポジティブになれる!」 「『それでいいんだよ、大丈夫』って肯定してくれる歌詞が優しくて好き」 YouTubeにアップされた緑黄色社会のMVには、こんなコメントが並ぶ。「自分もがんばろうと思える」「肯定してくれる」という感想が目を引く。「Mela!」が人気を得たのは、コロナ禍で緊急事態宣言が発令された2020年4月。閉塞感が漂うなか、中高生を中心にTikTokで演奏やダンスの動画が広がった。 なぜリスナーの共感を呼ぶのだろうか。ボーカルの長屋晴子は、自分自身が悩んできたことを曲にしていると話す。 「自分が救われてきた曲って、ただハッピーな曲ではなかったんです。ネガティブな歌詞に『同じように思っている人もいるんだ』と感じたり。自分は、『ついてこい!』みたいな曲は作れないと思ったんですよ。キャラも合わないし、説得力もないし。だったら同じ目線で、一緒に気持ちを底上げできるような曲を作りたいと思いました」
「キャラクター」という曲では、「誰だって need you」「そこら中にありふれた キャラクター全てに意味があるから」と歌う。自分を肯定することや多様性を認めることは、他の曲でも描かれている。 「私自身が自分を肯定するために、そういう歌詞を書いていると思います。今って、自己肯定感が低くなりやすいですよね。みんなが携帯で人の生活をのぞき見できて、華やかに見える人と自分を比べてしまうから。特に10代だと進路に迷ったりして、自分には何もないんじゃないかって思ってしまう。将来の夢とか、生きていくなかで探していくものだと思うんです。大人になってから、『私ってこういう人間なんだ』と気づいたりもする。10代の人には早い段階で自分を決めつけてほしくないなと思います」