「隠さなくてはいけない」と思い込んでいた――子のカミングアウトに親はどう向き合う? #性のギモン
「緊張のあまり手が震えて、身体が冷たくなった」。アーティスト・僧侶の西村宏堂さんは、同性愛者であることを両親にカミングアウトした時のことをそう振り返る。当事者の親の中には「子どもから打ち明けられたけれど、気持ちがついていかない」と戸惑う人もいる。子のカミングアウトに、親はどう向き合うのか。当事者や家族会、カウンセリングを行う医師に話を聞いた。(取材・文:篠藤ゆり/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
本当のことを話したら、親に受け入れてもらえないのではないか
西村宏堂さんは、メイクアップアーティストとしてハリウッドやミス・ユニバース世界大会などで活躍するほか、浄土宗の僧侶としても活動している。同性愛者であることを公言しており、LGBTQ活動家でもある。24歳の時、自分が同性愛者であることを両親にカミングアウトした。 「その年齢まで親にカミングアウトできなかったのは、『隠さなくてはいけない』と思い込んでいたから。テレビなどで『オカマ』『オネエ』などと揶揄するような表現を見聞きしていたので、本当のことを話したら、親に受け入れてもらえないのではないかと怖がっていました。18歳の時、留学先のアメリカで出会った16歳のメキシコ人の男の子は親に絶縁され、一人でアメリカに難民としてやってきたという話を聞き、怖くなったというのもあります」 高校時代、孤独で精神的に苦しく、違う環境を求めて渡米。18歳でボストンの大学に進学し、堂々と生きている同性愛者たちと出会い、自信が持てるようになった。 「セクシュアリティを隠している時は、頭の上にクモの巣が張られているような感じがして。『あ、これは言っちゃバレるな』というふうに気をつけながら生きていたので、息苦しかったですし、本当の意味で人とつながれた感じがしない。言わないと、本当の自分になれないと思いました。海外でまわりの人に励まされるなかで、同性愛は恥じるべきことではないという確信を持てたのです」