「サーキットの狼」世代が憧れたロータス「ヨーロッパ」はまだ手が届く!? 12年かけてレストアした個体でも400万円ほどが相場のようです
母国イギリスでは潤沢? ロータス ヨーロッパTC
1950~1970年代のロータスは世界的な大人気モデルながら、どういうわけかアメリカやヨーロッパ大陸で開催される国際オークションへの出品は少なめでした。そのかたわら、世界最大のクラシックカー市場である母国イギリス国内にて、ローカル色の強いオークションで潤沢に流通されているようです。今回はその英国におけるロータスの販売事例として、アイコニック・オークショネアーズ社が2024年6月末にオンライン開催した「The June Online Timed Auction」に出品されたロータス「ヨーロッパTC」を俎上に載せ、モデルのあらましと、注目のオークション結果についてお伝えします。 【画像】「ローマンパープル」でペイント! ロータス「ヨーロッパTC」を見る(全22枚)
ロータス初のミッドシップ市販車、ヨーロッパとは?
ロータス「タイプ46」こと「ヨーロッパ」は、1967年のブリュッセル国際モーターショーで発表された、ロータスの市販ロードカーとしては初のミッドシップ・スポーツ。大ヒット作となった「エラン」よりも安価に設定され、「スーパーセブン」の後釜となることも期待されていた。 ただテクノロジー面では、プリミティブなセブンとは比べるべくもない先進派。4輪ともコイルスプリングの独立式サスペンション、前輪ディスクブレーキ(のちに後輪もディスクブレーキに進化)を装備していた。 また「ブレッドバン」というニックネームで形容されるユニークなスタイリングにより、セブンよりも大容量のラゲッジスペースが確保されたいっぽうで、フルワイズながら天地の狭いリアウインドウからの後方視界は限られたものとなっていた。
S1とS2はルノー製4気筒エンジンを搭載
デビュー直後の2年間は、その名のとおりヨーロッパ大陸への輸出専用車として生産されたヨーロッパは、1969年に改良型「S2」として英国内でも販売開始。それ以前の最初期モデルは、さかのぼって「S1」と呼ばれるようになってゆく。 ヨーロッパS1と同様に仏ルノー社製4気筒OHVエンジンを搭載したS2は、S1時代で試行されたシェル接着式のボディ構築法が主に整備性の問題から棚上げとなり、従来のボルトオン式ボディ/シャシー固定法に回帰する。 1971年秋には、「タイプ74」こと「ヨーロッパ ツインカム(TC)」が発表される。後方視界確保のために低められたリアデッキの下には、その名が示すとおり、名作エランに搭載されていた英国フォード「ケント」ユニットをベースとするDOHC、いわゆる「ロータス・ツインカム」エンジンが搭載された。 排気量1558cc、最高出力106.5psのツインカムは最高速度117mph(約185km/h)を記録したものの、この数値はわずか1年ののち、限定モデルという形をとりながらも実質的な後継バージョンとなった、よりパワフルな(最高出力126ps)通称「ビッグバルブ」エンジンを搭載する「ヨーロッパ スペシャル(SP)」によって上書きされることになったのだ。