「サーキットの狼」世代が憧れたロータス「ヨーロッパ」はまだ手が届く!? 12年かけてレストアした個体でも400万円ほどが相場のようです
ヨーロッパSPを超えるスペックでチューニング
アイコニック・オークショネアーズ社は、2011年に「シルヴァーストーン・オークション」として創業。2023年8月に現在の屋号に改組して再スタートを図ったという、クラシックカービジネス界では比較的新興勢力ともいうべきオークション会社である。 同社では、毎月末に期間限定のオンラインオークションを開催しており、2024年6月のオークションでは20日に入札スタート。1週間後の27日の午後7時に締め切られる設定とされた。 英国でこのモデルの登録情報を管理する「ロータス・ヨーロッパ・ツインカム・レジスター」によると、今回の「The June Online Timed Auction」に出品されたシャシーナンバー「74/1041P」は1971年秋に製造され、1971年10月28日付で生産証明のインボイスが発行されたとのこと。エンジン番号は「25136」、4速の「336-56」型ギアボックスを搭載し、当初は「L14コロラド・オレンジ」で仕上げられていたと記載されている。 現在に至るヒストリーは公式ウェブカタログにも記されていないが、のちのヨーロッパSPを思わせる濃い紫色「ローマンパープル」でペイントされるなど、長い道のりを経てきたようだ。
12年の歳月をかけてフルレストアを行った
鋼板X型バックボーンフレームのリビルトに電気系統の新調、「ベージュ/オートミール」コンビ色の新品内装パーツを使用したインテリア。美しいローマンパープルの全塗装、そして伝説的なロータススペシャリスト「ヨーロッパ・エンジニアリング」社主宰のリチャード・ウィンター氏による「ビッグボア」エンジンのリビルトとセットアップを行い、現在では147psものパワーを獲得しているとのことである。 さらに、ボディをシャシーから外したフルレストアのため、12年間もの歳月と数千時間の作業時間、そして3万ポンドを超える経費を投じて、作業はコツコツと施されてきたという。そしてすべてが完成したロータスは、数年前から現オーナーのプライベートコレクションにくわえられることになる。 現在の高水準のメンテナンスはオーナー「おかかえ」のメカニックによって行われており、通常の定期的なサービスにくわえて、燃料システムのオーバーホールも行われたばかりとのことであった。 今回のオンライン入札に先立ち、アイコニック・オークショネアーズ社と現オーナーは2万1000ポンド(約400万円)~2万4000ポンド(約460万円)という、現在のイギリス国内におけるヨーロッパTCとしては、比較的高めにも映るエスティメート(推定落札価格)を設定した。 ところが実際のオンライン競売では、1週間の入札期間を経ても現オーナーの希望した最低落札価格に届かなかったのか、残念ながら「Not Sold(流札)」。現在でも同額のエスティメートを保持したうえで、継続販売とされているようだ。
武田公実(TAKEDA Hiromi)