住宅ローンの繰り上げ返済はやめたほうがいい? 銀行員が事例をもとにデメリットなどを解説!
住宅ローンの繰り上げ返済により、支払い利息を減らすことができますが、手数料などの追加費用が発生する場合もあります。また、繰り上げ返済をすることで、住宅ローン減税を活かせなくなるなどのデメリットもあります。本記事では、繰り上げ返済を決断する前に考慮すべきポイントを紹介します。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 住宅ローンの金利差0.1%で返済額はこんなに変わる!
住宅ローンの繰り上げ返済とは
住宅ローンの繰り上げ返済は、一定の金額を途中でまとめて返済することで、返済期間や残金が繰り上がる(短縮・縮小の意味)ことを言います。 残金の一部だけを返済するので、「一部繰り上げ返済、一部返済」などとも呼ばれます。 住宅ローンの毎回返済は、元金と利息の合計を返済していますが、繰り上げ返済は全額をローン残金の返済に充当するので、支払う利息が軽減される効果があります。 住宅ローンの繰り上げ返済には、以下の2種類があります(返済回数を減らす「期間短縮型」のほうが支払い利息の減少が大きくなる)。 期間短縮型 返済金を一定期間の元金の返済に充てて、その期間分だけ返済を短縮する方法です。毎回の返済額は変えずに返済期間を短くするのでその分の利息が軽減される仕組みです。 返済額軽減型期間短縮型と同様に、返済金を元金の返済に充てますが、残りの返済期間を変えずに毎月の返済額を引き下げる仕組みです。
繰り上げ返済のメリットは、支払い利息が少なくなること
住宅ローンは借金であり、借金が少ないほうが当然、支払う利息は少なくなります。では、実際にどのくらい支払い利息が少なくなるのか、シミュレーションで検証してみましょう。 【繰り上げ返済でどれだけ利息が減るのかをシミュレーション(期間短縮型で返済回数を減らす)】 条件:当初借入5,000万円・30年返済・15年経過して現在残高は約2,500万円・金利は0.3% このシミュレーションを見て銀行員としては、正直言って繰り上げ返済の効果は少ないと感じてしまいます。 たとえば、100万円を繰り上げ返済した場合の理論的な利息軽減額は約4万5,000円ですが、こちらは、今後心配されているような金利上昇局面では、繰り上げ返済で浮くはずの利息が吹き飛んでしまう可能性もあります。 一方、1,000万円を繰り上げ返済できれば、短縮される期間も軽減される利息もかなり大きくなります。 いずれにしても、絶対的にいくらといったものではなく、その人にとっての金額の大小で、一概に100万円なら効果が薄いから無駄などということもありません。 また、繰り上げ返済で金利が減るとしても、上記の軽減利息額が現金としてキャッシュバックされるわけではありません。 しかも、「返済期間短縮型」では、毎回返済額に変化はないので、繰り上げ返済したメリットはなかなか実感しづらいと思われます。 しかし、繰り上げ返済すれば、支払う利息が少なくなることに違いはなく、実際に数十万円でも余裕が生まれたら、繰り上げ返済に充てるお客様もいました。