なぜ歴史的ビッグマッチが実現したのか…12.29埼玉で村田諒太vsゴロフキンのミドル級統一戦…ファイトマネー日本史上最高額
この2年で、5度試合が流れたが、スパー相手を呼び、準備を重ねてきた時間は無駄ではない。何しろ試練とも言える時間を村田は「悪い時間ではなかった」と振り返る。 「医療従事者の方やお亡くなりになった方、家族の方がいて、言葉じりを取られると誤解を受ける。そういう意味じゃなくあくまでも僕個人の問題の発言と理解して欲しいのだが、外に出れず自分の内側と向き合えた。何を得たかと言えば得ていないが、思う通りにならず何かを失うということを2年間、経験できた」 村田の長所のひとつであるメンタルがまた強くなった。 ゴロフキンに技術戦では勝ち目がない。ただゴロフキンは好戦的であり、アウトボクシングはせず、どの試合も倒しにくる。39歳。今なおミドル級最強ではあるが、全盛期とは違う。いつもの村田スタイルでガードを固めて前へ出てプレスをかけ、スタミナを削り、世界でも有数のパンチ力を誇る一撃をくらわせばミドル級ゆえのワンチャンスはある。 元WBC世界スーパーライト級王者の浜田剛史代表は、「両者共にファイターで互いにノックアウトを狙う。おのずといろんな想像ができるんじゃないか」と語り、本田会長は「ゴロフキンとはタイプ的に合う。予想でいえば、1-9、2-8でしょう。でも、私は信じている。噛み合うという意味でね」と秘めた勝算を明かした。 今から31年前。あのマイク・タイソンは、この極東の地で、世紀の番狂わせで東京ドームのキャンバスに這った。奇跡と書けば、村田に怒られるかもしれないが、12月29日「日出ずる国」でまた世界のボクシング界を揺るがす奇跡が起きるのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)