なぜ歴史的ビッグマッチが実現したのか…12.29埼玉で村田諒太vsゴロフキンのミドル級統一戦…ファイトマネー日本史上最高額
日本の過去のファイトマネーの最高額は1994年12月に行われた辰吉丈一郎対薬師寺保栄のWBC世界バンタム級の統一戦とされている。3億4000万円で入札され両選手にそれぞれ支払われたとされる1億7000万円だ。実は、すでに村田が、そのファイトマネーの金額は超えていたのだが、今回はサラリーマンの生涯年収に匹敵するようなビッグマネーを手にすることになる。 村田も会見の冒頭で「プロになる時から言っているが、ミドル級で試合をするということは僕が大変というより試合を組むことが大変。ここまで導いて下さった方に感謝している」と、感謝を述べ、実現した世紀の一戦の意義をこう定義した。 「これは歴史の一部。僕も歴史の一部でしかない。大成功を目指して今後のボクシング界、スポーツ界により寄与できるものがあれば。僕個人が注目されることに興味はない。僕を通してボクシング界、スポーツ界に注目がいき活気づくのであれば嬉しい」 さて問題は村田が勝てるのか?である。強打とテクニックを兼ね備えたゴロフキンは、43戦41勝(36KO)1敗1分けの戦績を誇り、WBAタイトルは19度防衛、WBC、IBFの3団体統一王者になったこともある。 囲み取材でストレートに「勝算はあるのか?」と村田にぶつけた。 「勝算って言葉は使いたくない。ちゃんとやってちゃんと勝つ」 その根拠は? 「勝利は神様しか知らないこと。勝算があるか?と聞かれると勝てねえだろうと言われている気持ちにもなる。そういう気持ちはない。勝てないとは思っていない。勝てないという気持ちではリングに上がらない、勝てないというマインドはないということ」 哲学者の村田らしい問答だったが、ただの強がりではない。 村田は7年前にゴロフキンのキャンプに参加したことがあり拳も交えた。 「強さを実感した。壁の高さ、厚さを感じて登りたいなと思った。通用すると思ったこともあり、ようやく試合するにふさわしい立場、実力になった」 村田は、ここでかすかな攻略のヒントをつかんでいた。 2年のブランクへの不安もこう打ち消した。 「試合はやってみないとわからないが、練習はずっとやっていたので、それ(ブランクは)感じない。パイレーツオブカリビアン(入場曲)がダンダダンと流れ、10オンスのグローブをつけてヘッドギアがなく観客がいる感覚、緊張は、その場にこないとわからないが、失ったものに着目するのではなく今あるものに着目するしかない。リングに上がってギコギコ(錆びついた音)するかもしれないが、練習では錆びついていない」