【天皇賞秋・馬体診断】我が国を代表するようなフォルムのドウデュース ジャッジのカギは? 有力3頭を徹底分析
[GⅠ天皇賞秋=2024年10月27日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝2000メートル] 昔、競走馬は長距離に優れた馬が格上とされ、ホースマンは皆こぞってステイヤーを求めました。時代は変わるものです。近年はスピードが優先され、天皇賞・春や菊花賞を敬遠するトップホースが出てくるように。スピードと切れ味、スタミナの総合力が求められる天皇賞・秋にいい馬が集まるのは必然です。豪華メンバーが集結した今年、3頭をピックアップして馬体診断してみました。
◆ドウデュース
劇的Vを決めた昨年の有馬記念は馬体の良さがひと際目立っていました。それに比べて今年の宝塚記念は体調が最高には思えませんでした。結果は6着。馬場の影響もあったかもしれませんが、この馬は特に調子が最高か否かで着順が大きく変わるように思います。果たして、有馬のデキにあるのか、それとも宝塚程度なのか…このジャッジが重要です。500キロを超える馬体は、我が国のサラブレッドを代表するようなフォルム。バランスが取れた美しい体形で欠点がありません。加えて他馬ではなかなか見られない柔らかな関節と各部位。これらが柔らかで滑らかな歩様を生み出しています。手脚の伸びは抜群で、ピッチも速く瞬発力もすごい。柔らかく地を這うように伸びるフットワークは特徴的です。 結論にいきましょう。馬体の張りや毛ヅヤ、全身から湧き出る活気…このあたりは申し分ありません。昨年の有馬記念に近い状態に映る。ただ、若干ながら体に少し余裕が見られます。ここだけです。最終追い切りを終えてこの部分の帳尻をきっちり合わせてくるなら、完璧です。
◆ソールオリエンス
立木をかわすかのごとく、差し切ったあの皐月賞から約1年半…伸び悩んだ時期もありましたが、体のつくりという点で言えばここまで着実に進化しています。精神的だけでなく肉体的にも大きく成長し、GⅠ馬として貫禄さえ醸し出してきているのです。 皐月賞のころは、ひ弱な感じの細めの馬体をしていました。馬体重こそ現在までほぼ変わりませんが、馬体構造や組成が大きく変わってきています。菊花賞のあたりからたくましさを増しはじめ、4歳になって完全に成長した大人の馬体に。具体的に言えば、まず馬体全体が引き締まりながら、筋肉が各部位に付き始めました。頸の頚鋸筋が盛り上がりながら発達してきたのはその一例です。 今回の体を見ると肩の上腕三頭筋は他の部位との境界がくっきりわかるぐらい発達。腹袋はふっくらして、これまた大きく発達した後軀につながっています。3層の殿筋、腰の主要な大腿二頭筋は躍動感あふれんばかりに発達しました。 これだけ筋肉が発達しているのに馬体重が変わらないのは、脂肪が減ったということ。研ぎ澄まされた体に皐月賞馬の“鬼”が宿ります。