外国人がショート動画で食べ比べ――コンビニ「たまごサンド」なぜ人気? #食の現在地
新しい「日本食」になる可能性
全国1万個以上のパンを食べ歩き、「旅するパンマニア」として活動する片山智香子さんは、これほど外国人が日本のたまごサンドを好きになるとは想像していなかったと語る。 「10年ほど前、テレビのお仕事で外国人に日本のパンについてインタビューをしたとき、『日本のパンは柔らかすぎる』『僕らはもっとクラッキーなものが好き』というコメントがありました。それが最近は『パンがケーキのようなやわらかさ』だなんて。時代が変わったんですね。それこそ、すし、ラーメンが日本食として受け入れられてきたように、サンドイッチも新しい『日本食』として、そこに続いていくんだなと感じました」 片山さん自身、コンビニのたまごサンドが大好きで、仕事で地方のホテルなどに泊まったときに、朝ごはんとしてよく購入しているという。 コンビニ3社のたまごサンドにはそれぞれ特徴がある。比べてみると、サイズも価格も、もちろん味も異なる。8月中旬、都内の3社で購入したたまごサンドを比べてみると、もっとも重量があるのがファミリーマートで、もっとも価格が安いのもファミリーマートだった。味は人によって好みが分かれるが、言うまでもなく3社には違いがある。
片山さんも食べ比べをして、自身のYouTube動画で紹介している。ファミリーマートでは、パン生地がしっとりしていることやマヨネーズの味わいの濃さを指摘し、セブン-イレブンでは万人受けする味とパンの厚みとたまごサラダの量のバランスの良さを評価。また、ローソンでは、シンプルな味わいとカロリーが控えめなのがうれしいと評価をしたうえで、こう自分の好みを語った。 「3社ともおいしいのですが、マヨラーの私としては、ファミリーマートがイチオシでした!」 うなずく人もいれば、異論もあるだろう。だからこそみな、たまごサンドに一言コメントしたくなる──というのが、バズる背景にあるようだ。
前出のスパークスさんはこの夏、母国ニュージーランドに短期間だけ帰国し、8月下旬、また日本に戻ってきた。成田に到着すると、まっすぐファミリーマートに向かい、ファミチキと一緒にたまごサンドを購入、帰りの特急の中で、たまごサンドにファミチキを挟んで食べたという。 「それが日本に戻って最初にしたことというのがね、笑えますね」 TikTokなどで食べる動画がバズるのは、みんな食べることが好きで、食べるのを見るのも好きだからだ。それがソーシャルメディアでの傾向なんだとスパークスさんは言う。 「僕の食べ方をおもしろく見ている人もいるだろうし、そうじゃない人もいると思う。その見られ方はどうでもかまわない。僕としては、日本の食を広く知ってもらえたらうれしいですね」 上條まゆみ ライター。1966年、東京都生まれ。大学卒業後、会社員を経てライターとして活動。教育・保育・夫婦や親子など家族の問題等、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。 --- 「#食の現在地」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。生きていく上では欠かせない毎日の食事ですが、気候変動や世界情勢の変化などが、食卓にも影響を及ぼしています。また、技術開発によるチャレンジや食品ロスの対策など、未来に向けたアクションも多く生まれています。「食」をどう守り、発展させ、楽しんでいくのか、ユーザーとともに考えます。