「とんねるずは死にました」―戦力外通告された石橋貴明58歳、「新しい遊び場」で生き返るまで
今はすばらしいネタを作っている後輩がたくさんいて、拍手を送りたくなるという。しかし石橋の考える「売れる」とは、「テレビに何年いられるか」だ。 「売れると勘違いするんだよね、みんな。急にちやほやされるし、見たこともない金額を手にするし。浮かれる時間が短いやつほど芸能界に長く残れる。俺ら、意外と浮かれてる時間は短かった。『このままだとあっという間に落っこってしまうよ』と思ったから、長きにわたって時間を過ごさせてもらって」 「だけど、やがて戦力外通告。トライアウトもないテレビの世界。新しい遊び場はどこだ? あっ、ここにこんな遊び場がある! ボールを投げても蹴ってもいいみたいだよ。じゃあやらせてもらいます」 石橋にとって「笑い」とは「答えがないもの」。それでも決まって意識してきたことがある。 「テレビでいうと、見ている人が『これはこのサイズの枠から超えているよな』っていう、フレームから抜けている笑いにしたいんですよね。『うわっ、本当はもっとこれすげーんじゃねえの?!』みたいな。画面いっぱいじゃあ納得しない。テレビのサイズを壊す」 新しい遊び場はYouTube。テレビとネットの壁を壊し、自由に遊びまわっている。
「RED Chair」では椅子に揮毫(きごう)してもらう。「自分で決めたことを最後まで魂を持ってやり続けると、神様は結果を出してくれる。ただ本当に真面目にコツコツやらないと結果はついてこない。すべてのみなさんに魂はある。自分の魂を信じて、頑張ってやり続けてください。特に若いやつ。楽なほうに行かず、あえて苦しい方向に行き、魂を鍛える。帝京の補欠でもここまで来ます。秘密兵器、秘密のまんまで終わったのにね。絶対負けない。27個目のアウトを取られるまで、野球はゲームセットじゃないですよ」 石橋貴明(いしばし・たかあき) 1961年、東京都生まれ。80年、木梨憲武と「とんねるず」を結成。88年に『とんねるずのみなさんのおかげです。』がスタート。『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』『とんねるずのみなさんのおかげでした』など人気番組を次々と生み、音楽活動でもヒットを飛ばす。トークバラエティー番組『石橋、薪を焚べる』が放送中。YouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」で配信中。 【RED Chair】 ひとりの人生を紐解く『RED Chair』。先駆者、挑戦者、変革者など、新しい価値を創造してきた人たちの生き方に迫ります。