米消費者物価、日本のインフレ率停滞シナリオに一石?
これは日本にも一部通じる部分があります。7月のマネーストック(M3)は前年比+6.5%と過去最大の伸びを記録し、残高は1452兆7000億円まで増加しました。企業の手元現金需要(法人預金残高)と定額給付金支給による個人の銀行預金増加が主因です。日本は、個人消費が米国と比較して弱いため、企業の価格設定スタンスが弱気化しており、物価が上昇する気配に乏しいですが、通貨供給量と物価の関係を重視するならば、今後経済活動が正常化し需給ギャップが解消していく過程でインフレ率が加速度的に上昇する可能性も考えられなくはありません。 ウィルスの弱毒化、あるいはワクチンの大量供給が早期に実現するなど何らかの理由でコロナ感染状況が人々の予想よりも早期に好転する場合、急増したマネーストックが「コロナ・インフレ」を招く展開が現実味を帯びるかもしれません。頭の片隅に入れておくべき視点と思われます。
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