市場の行方左右する? 個人投資家「ロビンフッダー」の存在感
コロナ禍の米国で若者を中心とした個人投資家の動きが注目を集めています。続々と市場に参入し、さまざまな銘柄に着目し、投機的な投資を繰り返しているといわれています。市場全体に影響を与えているとみられるこの「ロビンフッダー」の動向について、第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。 【グラフ】給付金は効果あり? 街角景気が急改善 カギ握る倒産件数
株価の強力なリバウンドに影響?
最近、市場関係者の間で話題なのは「ロビンフッダー」と呼ばれる米国の個人投資家の存在感です。具体的には、手数料無料で株式を取引できる米国のオンライン証券ロビンフッドを利用する個人投資家を指します。 ロビンフッダーは相場全体に影響を与えていると思われます。ロビンフッダーの取引動向を集計している「ロビントラック」では、ロビンフッド経由で株式を取得した投資家の数が把握できます。そこで米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動するETF(上場投資信託)の保有者数をみてみると、3月の株価下落局面で急増した後、ほぼ一貫して増加を続けています。さすがに直近は伸びが鈍化していますが、個人投資家が株式市場に続々と参入している様子が見て取れます。3月の株価暴落時には想像もできなかった力強いリバウンドの背景に個人投資家が関係した可能性が示唆されます。
現金給付で潤った家計が投資に?
ところでロビンフッド経由の投資はなぜ急増したのでしょうか。ベースには3月の株価暴落を好機と捉えた人が多かったことがあるのですが、厳格な「ロックダウン」で在宅時間が飛躍的に伸びる中、政府からのコロナ支援措置で米国の家計所得が増加したことが影響したと思われます。 大人1人あたり1200ドル(約13万円)の現金給付に加え、失業者は通常の失業保険に加えて“毎週”600ドルの上乗せ給付が支給されたことで、米国の家計はコロナ前よりも潤った状態にあります。旅行、外食、エンターテインメントなどの支出機会が限られる中、「それならば株式投資を」という流れでしょう。