テスラ置き去り、カリフォルニア州のEV税控除案-市場シェアの縛り
(ブルームバーグ): 米カリフォルニアのニューサム知事(民主)が提示し、州議員らが決定した電気自動車(EV)払い戻し案は、テスラを除外する内容となった。競争促進を目的とする奨励策がイーロン・マスク氏の怒りを買うのは必至となりそうだ。
ニューサム知事は25日、トランプ次期米大統領が連邦政府としてのEV補助を撤廃した場合に備え、州が導入する奨励措置案を公表した。知事の声明によれば、2023年に段階的に廃止した州プログラムを強化し、トランプ氏が廃止しようとしている7500ドル(約116万円)の税控除に代わる優遇措置を消費者に提供するというもの。
この案には市場シェアに基づく制限が盛り込まれ、テスラの人気EVモデルは除外されると、知事室はブルームバーグニュースに明らかにした。詳細を州議員らと交渉しているため、今後変更される可能性はあるという。
「より多くの自動車メーカーが根ざせるような市場の環境を整えることが目的だ」と知事室は説明した。
施行されれば、EV市場が減速しているこの時期に普及促進を目的とする大型インセンティブからテスラが外されることになる。連邦政府による現行税控除はテスラのモデルを対象にしている。
マスク氏がテスラ本部をカリフォルニア州からテキサス州に移転する前から、同氏とニューサム知事は張り詰めた関係にあった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時にカリフォルニア州はフリーモントのテスラ工場に閉鎖を命じ、マスク氏は決算発表の電話会議で州の政策を「ファシスト」呼ばわりするなど怒りをあらわにした。マスク氏がテキサス州への移転を発表すると、ニューサム知事はテスラの成功は一部カリフォルニアのおかげだと述べた。
カリフォルニア州とトランプ氏は前政権当時、自動車排ガス規制を巡って頻繁に衝突しており、州指導部は新たな衝突に身構える姿勢を明確にしている。ニューサム氏はすでに、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)や気候変動、移民に関する州政策をトランプ次期政権からの脅威から守る方針を固めている。