「助けの求め方が分からない」国内最大の少年院に密着 年々増加する「境界知能」の非行少年たち【報道特集】
長谷川健太 法務教官 「手と足が一緒に動かない、足を前に出すところを後ろに出している、個別に『君のことやで』『こういうところやで』と言わないと、ずっと間違えたままになっている」 境界知能と非行に直接の因果関係はない。平均的な能力と障害の狭間にいる彼らは、なぜ非行に走ってしまったのか。 ■「あまり罪悪感を感じなかった」境界知能の非行少年の証言 少年院で増える境界知能の少年たち。今回特別に話を聞くことが許された。 ーー本件は何? 少年(16) 窃盗 「特殊詐欺。受け子も出し子もどっちも。SNSで検索したけど、お金稼げる仕事、闇バイトが出てくる。1日何十万円と書かれていて、どれにしようかなみたいな」 ーーおかしいと思わなかった? 「あんまり考えてなかった。『住所、免許証、(自宅の)玄関の写真を送れ』みたいな。 とりあえず送っておくかみたいな感じ。この時点でも犯罪だとわかってたんですけど、もう連絡取っちゃったし、仕事の依頼も受け取ったし」 各地で強盗事件が相次ぐ中、指示役をやって捕まったという少年もいた。 少年(19) 強盗予備 邸宅侵入 「強盗することにあまり罪悪感を感じなかった。流される雰囲気もあった。被害者の気持ちが考えられない部分がありますね、相手の気持ちというか。自分さえ良かったらいいみたいな考えが結構強くて」 傷害事件を起こして収容された17歳の少年は… 少年(17) 傷害 「彼女との喧嘩で、首絞めたり、押さえたり。すぐにイライラしたりとか、手が出たりとかしてしまいます」 少年のIQは「77」。境界知能に該当する。小学生のころから落ち着きがなく、精神科のカウンセリングで、発達障害の可能性を指摘されたが、本人や家族に自覚はなく、公的な支援につながることもなかったという。 少年(17) 傷害 「仲間外れにされたりとか、いじめられたり。先生に相談しても、『そうなんか』で終わらせられたり、相手にされなかったんですよ、そもそも。大人が信用できなくなりました」