森保ジャパンが9月の欧州遠征で「仮想スペイン・ドイツ」の欧州勢ではなく米国・エクアドルと強化試合を組む理由とは?
カタールワールドカップへ向けた強化マッチを組む上で、森保一監督はかねてからFIFAランキング上位の強豪国を技術委員会へ要望してきた。4月1日の組み合わせ抽選会で優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表と同じグループEになると、リクエスト項目のなかに「カタール大会に出場する国」が追加された。 ヨーロッパの強豪国とのマッチメイクが不可能な以上は、カタール大会へ向けて強化を進める国との真剣勝負で日本代表の強化を図る。その意味でFIFAランキング1位のブラジル代表、時差ぼけも解消させてベストのコンディションと徹底された戦術で臨んできた同35位のチュニジア代表との対戦は望み通りだった。 しかし、最大で2試合を実施できる9月シリーズではヨーロッパ勢に続いて、アフリカ勢とのマッチメイクも不可能になった。来夏にコートジボワールで開催されるビッグイベント、アフリカネーションズカップ予選が組まれているためだ。 必然的に南米勢、9月シリーズに限ってネーションズリーグが組まれていない北中米カリブ海勢、そしてアジア勢とのマッチメイク合戦が水面下で繰り広げられる。 そのなかで北中米カリブ海予選を3位で通過し、2大会ぶり11度目のワールドカップ出場を決めたFIFAランキング15位のアメリカ代表を率いるグレッグ・バーホルター監督が6月シリーズ中の記者会見で、アジアサッカー連盟(AFC)に所属するカタール大会出場国と来たる9月シリーズで対戦する可能性があると明かした。 アメリカはカタール大会のグループBで、イングランド、ウェールズ、そしてイラン代表と顔を合わせる。ヨーロッパ勢とマッチメイクができない状況で、アジア勢を想定してサウジアラビア、そして日本との対戦を求めているという。 スペイン紙の「アス」やアメリカの「TUDN」などは、アメリカはスペインおよびドイツでの強化マッチ開催を検討していると報じた。FWクリスチャン・プリシッチ(23、チェルシー)やMFウェストン・マッケニー(23、ユベントス)らヨーロッパ組が主力に名を連ねているためで、こうした点も日本の要望と一致する。 また、エクアドル紙の「EL Comercio」も4月の段階で、カタール大会へ向けたテストマッチとして9月に日本との対戦を計画していると報じている。 南米予選を4位で通過し、2大会ぶり4度目のワールドカップ出場を決めたエクアドルはグループAでオランダ、セネガル、開催国カタール各代表と顔を合わせる。ヨーロッパおよびアフリカ勢とのマッチメイクが不可能な状況で、カタールとタイプはまったく異なるものの、アジア勢との対戦を望むなかで日本が浮上したとみられる。 FIFAランキングで46位のエクアドルは、23位の日本よりも下に位置する。ただ、ブラジルとアルゼンチンの二強以外は実力が伯仲している南米予選をしっかりと勝ち抜き、今年1月にはホームでブラジルと1-1で引き分けてもいる。ヨーロッパでプレーしている選手も少なくなく、ヨーロッパで強化マッチを組むメリットも大きい。