セ・パの格差はなくなったのか?
プロ野球のセ・パ交流戦は12日に全日程を終了しセ・リーグが55勝、パ・リーグが53勝で引き分けはなく、セの2年連続通算3度目の勝ち越しが決まった。また交流戦優勝も、14勝4敗、勝率.778のヤクルトで、全日程終了を待たずに前日に決めていた。18試合制となった2015年以降では過去最高勝率で、セが勝ち越した上に優勝チームまで出たのも初。昨季は日本シリーズもオリックスとの激戦の末、ヤクルトが9年ぶりにセに栄冠をもたらした。セ・パの格差はもうなくなったのか?
優勝したヤクルトと2位の阪神が大型貯金
最終日は今回の交流戦を象徴する結果になった。優勝したヤクルトと2位の阪神が勝利。残る4カードはパのチームが勝った。トータルで、セが2勝パを上回ったが、これは全カードに勝ち越して14勝4敗で優勝したヤクルトと、オリックス戦3タテで締めて12勝6敗で2位に入った阪神の貯金「14」が影響したものだ。 3位のロッテが10勝8敗で、4位のソフトバンクから5位の西武、6位の横浜DeNA、7位の楽天までの4チームは、いずれも9勝9敗で勝率5割。同率の場合、直接の対戦成績や交流戦のTQB【(得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング)】が大きいチームが上などの交流戦ルールにのっとり順位がつけられたが、7勝11敗で11位の中日、5勝13敗で、ほぼ独り負けだった最下位の広島が、ヤクルト、阪神が作った交流戦の貯金を食い潰してしまっていた。 セ・パの格差が「埋まった」というよりも、ヤクルト、阪神の強さがパで首位争いをしているソフトバンク、楽天さえも上回って傑出していたと言った方がいいのかもしれない。 データ面を見てみる。 チーム防御率は、阪神の驚異的な1.96をトップに、ヤクルトが2.48で続き、パのトップのソフトバンクの2.52、西武の2.60をセの2チームが上回った。楽天との最後のカードで2日続けて大量失点した巨人と広島が4点台。パの最下位は日ハムの3.47で、平均すればパが2.92でセが3.20。パが上回っていた。 防御率の個人ランキングでは日ハムの加藤と、阪神の青柳が揃って0.00で1点も奪われていない。加藤は4試合に先発して1勝0敗、青柳は3試合に先発して3勝0敗で勝利数も1位だ。防御率では、阪神の西勇(0.47)、最終戦で1失点完投勝利したガンケルが0.81で続く。阪神勢3人が上位を占めたことが、阪神の交流戦での強さを象徴している。 5位が日ハム戦でノーヒットノーランを成し遂げた横浜DeNA今永の0.86。0点台が7人も揃った上位10人中、パから入ったのは加藤とソフトバンクのレイ(0.90)の2人だけだ。ヤクルトは、清水、今野、田口のブルペン陣が、揃って防御率0.00。中継ぎの完璧な仕事がヤクルトVの要因の一つだろう。 クローザーでは、セの中日のマルティネス、広島の栗林が自責ゼロ。パでは、西武の増田、オリックス平野、ソフトバンクモイネロが同じく自責ゼロだ。