城氏のガーナ戦分析「消える時間のある三笘は先発ではなくジョーカー的起用がベスト。久保はまだW杯当落線上」
4-1の快勝も素直には喜べない。何時間もかけての移動に加えて主力を3、4人欠くガーナは異常に汗をかきW杯出場を決めたチームとは思えないほど惨たる状態だった。先発メンバーをガラっと変えてきた森保監督は、「誰が出ても勝つ」という戦術の徹底と共に、W杯のメンバー選考の狙いがあったのだろうが、この相手では、“参考“にしかならなかったのではないか。ただ、その中でも浮き彫りになった収穫と課題があった。 存在感を示したのは左右のウイングで起用された堂安と三笘だ。堂安はパラグアイ戦に続けて非常に動きが良かった。コンディションの良さに加えて、4か月ぶりの代表復帰にかける気迫のようなものが全面に出ていた。開始9分。ボールを奪うと自らがドリブルで斬りこんでシュートを放った。上田と久保がサポートしていたが、堂安の選択は間違いではない。29分には久保―堂安とワンタッチで縦につなぎ、エリア内にポジショニングしていた右サイドバックの山根が先制のシュートを決めた。 この3人は東京五輪を共に戦った。阿吽の意思疎通と、この世代特有のサッカー観があり、ワンタッチでガーナのディフェンスの穴を見つけて決めたシュートは、この日4本奪ったゴールの中でも特筆すべきもの。ワンタッチでの崩しは、今までの森保ジャパンにはなかった得点パターンであり、これができればW杯の本番でも武器になる。 堂安は、ボールを持つところ、パスで崩すところと、ピッチ上で強弱をうまく使い分けていた。W杯では、相手チームの出方や、コンディション、展開によって、伊東なのか、堂安なのかチョイスできる。両サイドに高い位置を取らせて、攻めてくるチームには、伊東を使って抑えにいくべきだし、ボールポゼッションで圧倒される可能性があるチームには、堂安が最適かもしれない。堂安は、途中投入というより先発で使って力を発揮するタイプなのかもしれないが、彼が、この2試合で示した存在感はチーム能力の幅を広げた。 対する左ウイングの三笘も、世界でも突出している、その独特の間合いやキックフェイントを使い、切り拓くドリブルでの突破力を存分にアピールした。 前半のアディショナルタイムには、走り込んできた堂安、上田に送ったクロスがそのままゴールネットを揺らすことになり、後半28分の久保の代表初ゴールも三笘が仕掛けからアシストしたもの。当然、このポジションでも、南野を押しのけて三笘がレギュラーに急浮上という議論が出てくるだろう。だが、私は、後半スタート、あるいは、流れを変えたい勝負所で投入する究極のジョーカーとしての三笘起用がベストではないかと考える。