どんどん増える「清掃ロボ」、アイリスオーヤマ・森ビル・日建設計が導く現場改革
ロボット導入の驚くべき効果
では、どのような効果が出ているのか。基本的なこととして清掃ロボットには水を使わない「乾式」、水や洗剤を使う「湿式」など異なるタイプがあり、現場と作業に合わせて選択する必要がある。さらに、ロボット導入で効果を出すには前提がある。まず業務分析を行い、現場のシフトなどを組み直す必要がある。請負業者とオーナー間の契約も一部変更が必要かもしれない。 いずれにしても、ロボットを運用する作業会社だけでなく、ビルオーナーなどの関係者も巻き込む必要がある。これまでは、この点が現実的なハードルとなっていた。しかし、人手不足が社会問題化するにつれて、関係者間で課題を共有する意識が高まりつつある。 一方でロボットで直接的効果だけでなく、副次的な効果をも出せるようになっている現場もある。たとえばロボットを入れて床掃除をすると換気扇の清掃もあまりしなくてよくなったといった現場もあるという。このような副次的効果はロボット導入における意外な効果として時々聞く話だ。 また、人からロボットへと作業を移して人を再分配することでほかの部分にも力を入れやすくなる。また清掃ロボット特有の効果としては、ロボットが清掃しているところを積極的に対外的に見せることで「こんなに除菌・清掃しているんだ」という好印象を与えることもできるという。 2種類のロボットによる複数フロアへの自動配送(三菱地所 提供) 今後、清掃以外のビルでのロボット活用としては「配送」がある。これまで「配送」をビル自体のサービスとして提供しているビルはない。だがロボットによる大規模な自動配送が可能になれば、新たなビジネスチャンスともなる。場合によって、搬送ロボットと清掃ロボットを兼ねるといった形態も考えられるかもしれない。村松氏は「清掃だけではなく、警備、清掃、搬送などを共通で行うことで費用を案分するなどの工夫によって活用が広がっていくのではないか」と語った。