どんどん増える「清掃ロボ」、アイリスオーヤマ・森ビル・日建設計が導く現場改革
ロボットの通行性を定量化、標準化も推進
「ロボットフレンドリーとは何か」という話は、ロボットフレンドリー施設推進機構 理事の村松 洋佑氏と日建設計 デジタルソリューション室の光田 祐介氏の2人が、別の講演「ロボット活用が刷新する施設管理の未来」で紹介した。要するに、最初からロボットが動きやすい環境整備やルール作りを行うことで動作しやすくしよう、さらに人の側もロボットの機能が多少不足であっても、それを受け入れて積極的に使いましょうという考え方である。 ロボットフレンドリー施設推進機構は、2022年8月に設立され、現在56社が参画して、ルールやガイドライン、共通規格作りを行っている。施設側がルール作りを先導し、メーカーはそのルールに準拠してロボットを作る。共通規格というのはロボットが実際に通行する床の段差や平滑度などの話のほか、エレベーターやフラッパーゲートといった物理環境と、通信を使った機器連携の話である。現場でも、たとえば「ロボットは右側を走行する」「行き違うときは必ず右側に避ける」といったルールを最初から決めておけば運用時の手間が1つ減る。 ロボットフレンドリー施設推進機構によるイメージ動画『人とロボットが共存する世界』 以前はロボットが使われている現場自体が少なかったが、最初に述べたように、清掃ロボットはすでに多くのオフィスや商業施設などの現場で実際に使われ始めている。複数ロボットが運用されるとなると、ロボット同士がすれ違うときのルールや通信規格も決めておいたほうが群管理が容易になる。ロボットフレンドリー施設推進機構ではすでに7つの規格を決めてガイドラインを出している。 特に環境の定量化は面白い。段差や溝、通路幅などをロボットの通過しやすさで、レベルAからCまで分けて明記している。導入検討側は「うちのロボットはRFAの規格のこれをクリアしている」と言われたら、どういうスペックのロボットなのかが「使う側の立場」から見て判断しやすくなる。メーカー側のスペック表とは違う利点がある。このようにロボットと施設双方の標準化を進めているのがロボットフレンドリー施設推進機構だ。