どんどん増える「清掃ロボ」、アイリスオーヤマ・森ビル・日建設計が導く現場改革
「森ビル」はエレベーター連携で稼働率向上
森ビル 管理事業部 事業企画部 部長の槙島 健太郎氏は「麻布台ヒルズ・虎ノ門ヒルズでのサービスロボット導入~都市デベロッパーとしての取組と今後の課題」と題して、森ビルでのロボット活用を紹介した。森ビルは2003年頃にも六本木ヒルズに清掃ロボットを導入していたが、当時は運用も準備も大変で、費用の負担も大きかったという。 その後、同社では2018年頃から警備や清掃用途のロボットについて調べ始め、現在に至っている。麻布台ヒルズと虎ノ門ヒルズには警備ロボットが試験運用されている。警備責任者とも話をしながら選定を進めている段階とのことだった。清掃ロボットも清掃会社に使ってもらうことを前提として選定中で、特に「簡単に使えること」を重視しているという。 課題はロボットとエレベーターやセキュリティドアの連携だが、森ビルでは2021年4月にOcta Robotics(オクタロボティクス)と出会い、同社のシステムを採用している。ロボットの命令をサーバに送り、Octa Roboticsのロボット・建物設備間連携用のインターフェース「LCI」ボックスを経由して、エレベーター制御盤に指示を出すことで、複数フロアをまたいだ運用を可能にしている。ロボット稼働率が上がれば費用対効果も向上する。 ロボットをあたりまえのインフラに Ver. LCIサービス, Octa Robotics ロボットは実際の運用段階で検証しなければならないことが多数ある。警備や清掃でも同様で、たとえばエレベーター連携するにしても、人と同乗するのかしないのか、ロボットはどの位置で待つべきなのか、エレベーターへの進入速度はどの程度が良いのかといったことも実地で検証してみないと分からないことが多い。なお森ビルでは、現時点では人と一緒にロボットを乗せるべきではないと判断しているが、今後も検討を続けていくという。 今後のビルではさまざまなロボットと共存することが想定される。できればビルの企画段階から「ロボットフレンドリー」な環境を仕込めるのが理想だが工事には時間がかかる。一方、ロボット側は技術進化する。その速度差を考えると難しいかもしれないとのことだった。