僕はなぜVWのトランスポーター、タイプ1・タイプ2に惹かれるのか?
自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くします。 岡崎宏司の「クルマ備忘録」 フォルクスワーゲン(VW)と言えばゴルフGTIが一番のお気に入りという筆者。でもそれ以外に“時が経つほどに愛着が増し、より好きになっていった”のがトランスポータのタイプ1とタイプ2だと言います。あまり好きではないバン系のクルマの中で例外的にお気に入りとなった2台の心に残る思い出とは?
VW タイプ2が大好きだった!
僕はバン系のクルマはあまり好きではないし、自分で所有したこともない。、、でも、例外的に好きなバンがある。それは、大昔のクルマだが、フォルクスワーゲン(VW) タイプ1とタイプ2だ。 タイプ1が1950~1967年、タイプ2は1967~1979年に生産された。ともに長寿命のモデルだったが、「飽きた」といった感覚を持ったことはないし、時が経つほどに愛着が増し、より好きになっていった。 ちなみに、ビートルに対しても同様の感覚を持っていたし、初代ゴルフも同じだ。 もし、今、「歴代VWの中から、好きなモデルを1台あげろ」と言われたら、僕は迷わず初代のゴルフGTI をピックアップするだろう。
そして、ボディカラーは黒。同じく黒のグリルを赤のエッジで囲んだものを選ぶだろう。 このカラーリングを纏ったGTIは、若く素敵なカップルとのコンビネーションで、デビューと同時にパリに送り込まれた。※1 ※1 パリのお洒落なカップルに車両を提供したGTIデビュー時に行われたプロモーション そして、ファッショナブルな人たちが集まるエリアを流し、人気のレストランや、クラブや、カフェの前に駐めてアピールした。 そんな作戦は見事に当たり、黒のゴルフ GTIの人気は、パリを発火点にして、瞬く間にヨーロッパ中に拡がっていった。 僕も欲しくてたまらなかったのだが、初代GTIは日本には輸入されず、諦めるしかなかった。そして、以前にも書いたが、2代目GTIの、日本での初オーナーになった。 2代目GTIのパフォーマンスは素晴らしく、初代を大きく圧倒していた。とくにトラクションは、当時のFWDの常識を超え、GTIの強力なパワーを余すところなく引き出せた。