僕はなぜVWのトランスポーター、タイプ1・タイプ2に惹かれるのか?
運転するのは主に、メカニックを主にしたチームスタッフの移動に使っていたVW T2。たしか6人乗りのモデルだったと思う。 ラリーの本番が始まるまでのチームの移動は、さほど忙しないものでもなく、みんなとワイワイやりながら楽しく運転していた。 ところが、本番になるとガラリと変わった。文字通り180度変わった。何がいちばん変わったかと言えば、サービスポイント間を移動する、時間のタイトさと速度の速さ。 本番でのサービスカーの移動がこんなにタイトで高速になるとは思っていなかったし、聞かされてもいなかった。 初めはそれまでと同じように、適度なスピードで走っていたが、「おい、もっと速く走れよ。これじゃ間に合わないぞ!」とチーフの声が。それも、怒声っぽい言い方でだ。 「ええっつ、そうなんですか⁉」、「ガンガン行かなきゃ間に合わないってことですか⁉」と僕。 「そうだよ! これ、誰も伝えてなかったのか⁉、、、そうか、、悪かった。ごめん。本番は、サポートチームもすごくタイトなスケジュールで動かなければならないんだよ。だから、できるだけ飛ばしてくれ!」、、。
で、、そこから僕は「全開モード」に入った。T2はパワーがないし遅い。でも、うまくコントロールして、コーナーをスムースに抜ければ、アベレージは結構押し上げられる。 僕は、ブレーキングドリフトなどをも使い、コーナーをギリギリまで攻め始めた。 しばらくは静かだったキャビンから、突然、「イヨーっ、チャンピオン!」、「ガンガン行こうぜ!」などの掛け声が上がり始めた。となると僕もさらに気合が入る。 飛ばすのにはもっとも向いていないクルマで満席乗車。複雑に曲がりくねった、しかも初体験の道路を全開で飛ばすのは難しい。当然、初めは不安もあった。 でも、心が熱くなってくると、自然に運転のリズムも熱くなり、同時に微妙なコントロールの精度も上がってくる。 そんなことで、初めは少し不安だったが、わずかなウォーミングアップで、すぐ全開モードに入っていけたのだ。