【ABC特集】「入所施設を縮小」「障害者を地域で」国の理想は障害者と家族を救えるのか 老いてゆく親たちが力尽き命を落とす前に・・・
『入所施設』の40床は満床です。待機者は、100人以上います。短期入所のショートステイには、問い合わせが絶えません。
(叶原施設長)「高齢の親御さんが、ずっと(子どもの)世話をしてきたんですけども、もう限界にきていると。どの問い合わせも、深刻極まっている相談でして・・・」 山直ホームには、ここ半年の間に、深刻な相談が14件ありました。重い障害のある人を支える“家族の疲弊”、“孤立”。遠く、福井県からの問い合わせもありました。 (叶原施設長)「できるかぎりの対応はさせてもらっているんですけど、なかなか利用までつながる家庭というのは本当に少なくて」
ショートステイの利用につなぐことができたのは、14件の相談のうち、1件です。 (職員)「おはよう」 (母親)「優気、ほら、おはようって」 (職員)「おはよう、元気?」 (優気さん)「お願いします」 (職員)「はい、お願いします」 大阪府八尾市に住む、田邊優気(たなべ・ゆうき)さん(22)です。自閉症で、パニックに陥ると、そばにいる人を噛む“他害行為”があります。
去年5月までは、地元の施設に通っていましたが、職員を噛んでしまい、利用を続けられなくなりました。 (福井智士副施設長)「聴覚過敏というところで、他の人の声や物音が気になって、(他人から)触れられてしまうというのもパニックの要因になると聞いて」「なるべく刺激が少なくて静かな環境がいいと、配慮して」 (母・由美子さん)「(山直ホームなら)もしかしたら、うちの息子の受け入れも可能なのかなと思って」「地元の八尾では、息子に応じた対応をしながら、ショートステイを受け入れてくれるところが無いのかなというのが結論です」
山直ホームのショートステイでは、親が子どもを支え切れなくなった、“緊急的なケース”も受け入れています。去年8月から、滞在が続いている、ダウン症の男性、森山郁さん(54)です。 (叶原施設長)「誰と一緒に暮らしてた?」 (森山さん)「お父さん」 (叶原施設長)「お父さんと森山さんで、2人で暮らしていたんやな」 (森山さん)「そう」 (叶原施設長)「お父さんが、体がしんどくなってな、今、山直ホームで暮らしているねんな」 (森山さん)「そう」 80代半ばの父親が、自宅で支えていましたが、体調を崩して息子を支え切れなくなりました。ショートステイではなく、定住できる施設を探していますが、受け入れ先がありません。