【ABC特集】「入所施設を縮小」「障害者を地域で」国の理想は障害者と家族を救えるのか 老いてゆく親たちが力尽き命を落とす前に・・・
(盛次さん)「親亡き後は、妹がいるにしても、妹は娘が4人いる。やっぱり、あの子らの人生がありますから」 (記者)「国に何を一番お願いしたいですか?」 (母・千秋さん)「障害者が安心して暮らせる、『何かあったらどうぞ』と、受け入れてくれる場所があること」
去年11月、東京都千代田区。『全国障害児者の暮らしの場を考える会』と厚労省との懇談会。全国から、当事者や家族、施設の職員ら42人が集まりました。
厚労省は、障害福祉の担当者が参加。取材が許されたのは、『考える会』の冒頭の発言だけでした。 (播本裕子会長)「なんとか、今よりも安心で、安全な暮らしを願って、きょうは全国からたくさん参加しております」 重い障害のある人と家族を救う、“優しい施策”を実現して欲しいと、頭を下げました。
(叶原施設長)「(障害者の)家族の皆さんは、心身の限りを尽くして、子どもを限界まで支えています。家族が力尽きて、命を落とす前に、入所施設の必要性を理解し、施設の削減ではなく、必要な数を整備してください」
2時間の懇談の後、『考える会』のメンバーからは、複雑な思いが聞かれました。 (記者)「(重度障害者のための)入所施設やグループホームを増やそうという雰囲気は感じ取れましたか?」 (山直ホーム 叶原生人施設長)「増やすという雰囲気は無いです」「これで終わるわけにはいきませんので、こういった実態が解決するまで、声を上げ続けていかなくてはいけないと」 (母・千秋さん)「切羽詰まっているんですけど、それが」 (千秋さんと盛次さん)「伝わっていない」 (母・千秋さん)「1人暮らしができる状況ではないので、本当に・・・不安しかない」
厚労省の考えは、“重い障害のある人も地域で暮らす”。3年後の春までに、入所施設で暮らす障害者の数を、“5%以上削減“するよう計画を進めています。『施設』は縮小され、『地域』では生きづらい。当事者と家族は今、2重の不安を抱えています。 (『newsおかえり』2024年2月13日放送分より)