【ABC特集】「入所施設を縮小」「障害者を地域で」国の理想は障害者と家族を救えるのか 老いてゆく親たちが力尽き命を落とす前に・・・
“家にも帰れず、受け入れ先も見つからない”。山直ホームのショートステイには、4年にわたり、滞在している人もいます。入所施設には、待機者が多すぎて入れないのです。
去年11月。厚労省との懇談を翌日に控えた、『暮らしの場を考える会』。叶原施設長が、厚労省に伝えたいこと。 (叶原施設長)「待機者の切実な実態を伝えたい。うち、122人の待機者名簿がありまして」「事例が非常に深刻なので」 (播本裕子会長)「理屈ばかり並べる発言よりは、『こんな実態があるんだ』という方が説得力がある」
当事者の不安は切実です。最重度の身体障害がある、盛次信晴さん、39歳。 (盛次さん)「相談したいんですけど、田舎だと・・・」 (母・千秋さん)「職員が高齢化していて、『盛次くんみたいに立てなかったら、私たち受け入れられないよ』って、露骨に言われてしまって」 (盛次さん)「(涙をぬぐう)・・・」 住んでいる町では、働き手の高齢化で、利用できる福祉サービスがほとんど無いというのです。
盛次さんの住む、広島県世羅町。高齢化率は4割を超え、『過疎地域』にも指定されています。
盛次さんは、脳性麻痺があり、両親と暮らしています。
以前は、杖をついて歩くことができていました。しかし、脳性麻痺による二次障害で、7年ほど前から下半身の動きが悪くなり、車椅子生活になりました。 (盛次さん)「8回ぐらい入院している。二次障害が確定してからは」
車椅子生活になったことで、以前より、福祉サービスが必要になりましたが、かえって、選択肢が狭まったといいます。住んでいる地域には、重い身体障害の人を支えられる福祉の人材が足りません。 (盛次さん)「介護が必要だから、僕らはサービスを求めている。だけど『(来るのは)難しい』と言われたら・・・」
(母・千秋さん)「よっこらしょ、はい、OK」「はい、沈んで」 入浴介助をする母親の千秋さん(62)。週に3日は、車で1時間かかる別の市から、訪問ヘルパーが来てくれています。しかし、家での暮らしをいつまで維持できるのか、不安です。