通知表をやめて全国から注目される【神奈川県・香川小学校】。公立小学校なのに子どもファーストな学校改革が叶った理由は?
職員がじっくりと議論を重ねた結果、「必要なのか?」という根本的な問いが生まれた
そうしていくうちに、教育をこのようなかたちで評価するのは、どういうことなんだろうという原点に戻っていくんですよね。子どもたちの成長に通知表は本当にプラスになっているのか、保護者の皆さんに学校の様子が伝わるものになっているのか。 それで、突飛だと思われるかもしれませんが「ひとまず一回やめてみない?」という流れになったのです。喧々諤々、じっくりと議論を重ねた結果でした。最終的に「國分校長先生はどう思いますか?」と聞かれたのです。こんなに皆さんで話し合ったことだしやってみましょうということになりました。 その時に私が伝えたことは、「これだけ話し合ったことを、保護者や子どもたちに伝える努力は僕(校長)がやります。ただ単にやめたというのでは世の中的にも受けとめられないし、これから子どもたちをどのように評価していくのか真剣に取り組むことは大変になるかもしれません。それでも挑戦してみましょう」ということです。その時、職員で意を新たに決心したんですね。 通知表がない、という環境にいたことのある職員はいなかったので、どこか不安もあったとは思いますが、あの決断が今となってはとても大事なキーポイントでした。 ‐‐通知表の内容を見直していく中で、なくそうということになったのですね 國分先生:そうなんです。はじめから通知表をやめようという話し合いではなくて、より良い通知表、保護者に伝わる通知表を作るにはどうしたらいいのか話し合っていくうちに、ない方がいいんじゃないかという話になっていったんですよ。
通知表をやめたときの保護者の反応とは?
‐‐通知表をなくすと聞いたときに保護者の皆さん、子どもたちの反応はどうでしたか? 國分先生:保護者説明会では、「通知表に変わるものがなにかしらほしい」、「思い出になるものだからさみしい」などいろいろな意見が出てきました。その他にも厳しい意見がたくさん出てきて心が折れそうになったのですが、最後に保護者の方が「私たち保護者も通知表の在り方を考えないといけないし、応援しましょうよ」と言ってくださって、実行することができました。 その後も手紙や電話で「なんにもくれないのか?」という問い合わせが多く入りました。そのため職員と話し合い、振り返りのプリントなどを作成したのですが、それはそれで先生たちの作業がとても大変になってしまったんです。試行錯誤したのですが、通知表の代わりを出さねばならないという考えを改めました。 ‐‐子どもたちの反応はどうでしたか? 國分先生:子どもたちの反応はというと、今まで良い評価だった子は「通知表がないと褒められない」、「頑張ってたのに」と言う子もいました。そんな子どもには「勉強は通知表の為ではなく、君たちには将来に向けてやって欲しいんだよ」と伝えました。 逆に通知表が良くなかった子は「なくしてくれて、ありがとう!」といっていましたね(笑)。