ゴジラ-1.0と「君たちは~」アカデミーW受賞の瞬間、各国の記者から大歓声が起きた…沸いたのは日本だけじゃない 現地で実感した多様化と日本映画への期待
「ゴジラ」について山崎監督は、現在の世界情勢を念頭に「戦争の象徴であり、核兵器の象徴でもあるゴジラを何とか鎮める話。鎮めるという感覚を世界が欲しているのではないか」と語った。 そして私の問いに堂々と答えた。「日本人として、いつか『オッペンハイマー』へのアンサー(回答)となる映画を作りたいと思う」。通訳の男性が英語に翻訳すると、記者たちから拍手が起きた。 ▽核兵器をなくし、世界をより安全に それまで「ゴジラ―」に素っ気なかったアメリカの新聞記者から「ゴジラってそんな感じ?」「見てないんだけど、キングコングと暴れる映画じゃないの?」と問い詰められる。 その後「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督も記者会見に登場した。世界の現状を語り「ここ数年、核拡散防止について間違った方向に進んでいる」と批判した。 そして世界各地から来た記者に呼びかけた。「絶望するのではなく、核の数を減らすため、政治家や指導者に圧力をかけようと活動している組織に目を向けることがとても大切だ。私たちの地球上に核兵器がなくなり、世界がより安全になるように」
▽KAIJU+Tokusatsu 受賞者たちの記者会見を取材しているうちに、気づくと授賞式は終わっていた。引き上げようとすると、スペイン語紙の記者が追いかけてきた。「分からない言葉があって、多分日本語。Tokusatsuって、どういう意味?」。 差し出したスマートフォンに「KAIJU KING+Tokusatsu=Oscar」の文字が見えた。「怪獣の王+特撮=アカデミー賞」と訳せば良いだろうか。 メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督がSNSへ投稿したものだった。日本のアニメや特撮に影響を受け、2018年に「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞の作品賞などを獲得した巨匠だ。 自他共に認める〝オタク〟監督らしい方程式に、思わず噴き出してしまった。筆者が「アナログ技術によるSFX(特殊撮影)のことだ」と説明すると、その記者は「オー、ウルトラマンとかスタートレックね」と納得した顔だった。 ▽こぢんまりした作品の殻、破れるか