ゴジラ-1.0と「君たちは~」アカデミーW受賞の瞬間、各国の記者から大歓声が起きた…沸いたのは日本だけじゃない 現地で実感した多様化と日本映画への期待
日本映画は3作も候補に入ったため、昨年以上に話しかけられる。長編アニメーション部門の「君たちはどう生きるか」(宮崎駿監督)と、国際長編映画部門の「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督)、視覚効果部門の「ゴジラ―1.0」(山崎貴監督)の3作だ。 ▽「ハヤオに会いたかったなぁ」 授賞式は、冒頭から司会の人気コメディアンが長々としゃべり倒す。3番目に発表予定の長編アニメ賞が最初のニュースとなるのでヤキモキしていると、イタリアの通信社記者が「絶対に賞を取るから」とあおる。スペインの新聞記者も「(スペイン・フランス映画の)『ロボット・ドリームズ』だったら納得だが『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』を選んだら残念だ」。 そして壇上で「ザ・ボーイ・アンド・ザ・ヘロン」の名が読み上げられると、記者は思わず「ワー!」と声が出た。向かいに座るイタリア人記者とハイタッチを交わし、周辺の記者らから祝福を受けた。
みんなスタジオジブリ作品が好きだ。「(『千と千尋の神隠し』の)モンスターたちが憎めなくて」「(『紅の豚』の)豚だよ、空飛ぶ豚」「“政治的に正しい”ディズニー作品とは違って、少々悪ガキな登場人物がいっぱいいるところがいい」などと口々に言う。 しかし宮崎駿監督は高齢のため欠席。記者会見にスタジオジブリの中島清文副社長が代理で現れ「許してあげてください」と話すと、会場から「会いたかったなぁ」とため息が聞かれた。 ▽東京へいざなうヴェンダース映画 国際長編映画賞は、各国記者の意見が対立していた。どれも名作だが、昨年のカンヌ国際映画祭で第2席のグランプリに輝いた英国代表作「関心領域」が頭一つ抜けていた。 それでも「雪山の絆」がこの賞の候補に入っていたスペインの新聞記者は「ヴェンダース監督の功績を鑑みれば、オスカーは彼に贈られるべきだ」と日本代表の「PERFECT DAYS」を称賛する。