「朝が弱い」「疲れやすい」「やる気が出ない」は、脳が覚醒していないからかも?脳のスペシャリストが教える「脳の朝活」おすすめ習慣
「朝が弱い」「疲れやすい」は体質ではなく、脳が覚醒していないからかもしれません。自ら考案した「脳の朝活」で人生が一変したという《脳のスペシャリスト》の加藤俊徳先生が、とっておきの習慣をご紹介します(構成=山田真理 イラスト=宮下和) 【図】「脳の朝活」では、刺激を与える順番が重要 * * * * * * * ◆《脳力》フル稼働で一日中疲れ知らず 朝起きたとき、頭がぼんやりしていたり、なんとなく疲れてスッキリしなかったりすると、一日中やる気が出ず、十分に楽しんで活動できないといった経験は、だれしもあると思います。 実はそれは、脳が覚醒していないことが原因の一つなのです。脳の覚醒とは、単に目が覚めている状態ではなく、意識や感覚がしっかり働き、生き生きと活動できる状態のこと。そのために必要なのは、「夜決まった時間に寝て、朝は明るくなったら起きること」「朝のうちに脳に適切な刺激を与えること」です。 そもそも文明の発達により、照明の下で夜遅くまで活動できるようになったのは、人類の歴史のなかでもごく最近のこと。それまで私たちの祖先は、太陽が昇ると同時に活動を始め、太陽が沈むと休息を取るという暮らしを続けてきました。 人間の体にはこういった暮らしに適応するため、朝目覚めて昼に活動し、夜になると眠るという「リズム」が備わっています。ところが現代では夜と昼の境がなく、この自然な状態が乱れているのです。 睡眠から覚醒へと脳がスムーズに切り替わる時間帯は限られています。具体的には、日の出から朝9時頃まで。このタイミングでしっかりと脳を活性化することで、脳の覚醒がうまくいくのです。
◆夜型生活をやめて人生が一変 実はかくいう私も、中学の時からずっと夜型の生活でした。医師になってからも、体力のある頃は、睡眠時間を削って研究や執筆を行っていました。 ところが50歳を過ぎた頃から、記憶力や集中力の低下を感じるようになったのです。それまでは多少疲れていても気力で何とかすることができたのですが、そうもいかなくなった。 そこでふと思い出したのが、30代の時アメリカの大学でともに働いていた同僚たち。彼らは毎朝5時半には起きて、プールやジムで体を動かしてから研究所に来て、午前中から非常に高いパフォーマンスを発揮していました。 彼らの姿から、朝に脳を刺激を与えることが重要なのではないかと考えたのです。そこで私は、長年の脳研究で得た知識を総動員して、朝のうちに脳を覚醒させる「脳の朝活」を考案し、習慣化してみました。 すると驚くほど仕事の効率と質が向上し、人生で今がいちばん自分の能力が発揮できていると実感しています。 現在も多くの仕事を抱えていますが、「脳の朝活」のおかげで無理に頑張っている感覚がありません。気持ちが前向きになり、人生がより楽しく、有意義に感じられるようにもなりました。 脳の活性化は認知症を遠ざけるのにも一役買うはず。ここからは、その具体的な内容をお話ししましょう。
【関連記事】
- 「脳の朝活」で午前中からスッキリ効率アップ!「朝日を浴びる」「音楽を聴く」…10の習慣で順序良く脳に刺激を与えて脳を活性化
- 脳科学者・中野信子 30代・40代が陥る<第二の思春期>ミドルエイジクライシスとは?責任、充実、多忙…。「過ぎる」状況のなかにこそ落とし穴が
- 「朝起きられない」「食欲がわかない」不調の原因はセロトニン不足かも。研究の第一人者が実践する<ゆっくり吐く呼吸法>とは
- 「もう年だからできない」「もの覚えが悪くなった」は、思い込みかも?茂木健一郎が教える、脳の老化を防ぐマインドとトレーニング3選
- 薬理学教授 うつ病患者の脳に何が起きているのか?「急性ストレス」と「慢性ストレス」が脳にもたらす影響の違いについて