やっぱりエンジン車は気持ちいい! マセラティはなぜいま新型エンジンを開発したのか?【試乗レビュー】
クルマ好きにはやっぱりエンジンが必要だ! マセラティが完全自社で開発した新型エンジン「ネットゥーノ」はなぜ気持ちがいいのか。モータージャーナリストの小川フミオによる試乗リポートをお届けする。 【写真】エンジンが気持ちいい!新型マセラティの詳細を見る。
マセラティが新型エンジンを開発した理由とは
エンジン車はいつなくなるんだろう? ちょっと前までは、2030年が境、なんて言われていた。EUや米国で、2030年をめどにエンジン車の新車販売を禁止する、という流れが出てきたからだ。 東京都のホームページでは、2030年にZEV(ゼロエミッションビークル)の販売比率を50パーセントに、50年には「都内を走る自動車すべてZEV化」という文言が見つかる。 そんななかで興味深いのが、各自動車メーカーの昨今の取り組みだ。電気や水素で走るピュアEVと並行して、エンジン車の開発の手も緩めてはいない。 「少し前までは、“これからもエンジン開発に投資する”と話をした途端、投資筋から反発がありましたが、現状をみると、私の判断が正しかったと認識を改めてもらいました」。独フォルクスワーゲン乗用車部門のトマス・シェファーCEOは、2024年4月にオンラインでのインタビューで、そう語ってくれた。 今回のトピックスであるマセラティの動きも、これをトレンドというべきか分からないが、自動車界の流れに合致している。イタリア語で稲妻を意味する「フォルゴレ」というサブネームをつけたピュアEVを展開したり、バッテリーで走るレース、フォーミュラEで活躍したり(24年第5戦の東京で優勝)するいっぽう、エンジン車も手を抜いていない。 マセラティジャパンが、24年4月に、マセラティ自慢の新エンジン搭載車の試乗の機会を与えてくれた。完全自社開発の3リッターV型6気筒エンジンで、特徴はエンジン負荷(加速とか)に応じてピストン内で燃焼させる部分を変えるツインイグニッション方式。燃費とパワーを両立させたと同社が謳う設計だ。 「ネットゥーノ」というのがこのエンジンのニックネーム。イタリア語で海神(ネプチューン)を意味する。海神の像は、マセラティがクルマづくりを始めたボローニャの広場にあり、手にしている三叉の鉾(ほこ)は、マセラティのエンブレムのモチーフになっている。