西武に出てきた”ポスト秋山”…高卒4年目”新戦力”の鈴木将平はいかにしてヒーローになったのか?
続く6回裏にもチャンスが巡ってくる。4番・山川穂高と森の連打、中村の四球で作った一死満塁で栗山のショートゴロを藤岡裕大がファンブル。続くスパンジェンバーグのライト前タイムリーでさらに1点を追加し、6-3とリードを広げた二死満塁で鈴木が左打席に立った。 「打ったのはフォークボール。何の迷いもなくバットが出たことが、いい結果になったと思います」 外角いっぱいの厳しいストライクゾーンに決まった、143kmの初球ストレートを見逃した直後だった。真ん中からやや外目に落ちてくる、決して甘くはない130kmのフォークボールに鈴木は苦もなく反応。ロッテの戦意を完全に喪失させる、強烈な2点タイムリーがライト前に弾んだ。 静岡高から2016年のドラフト4位で入団して4年目。高校時代は1年夏、2年春、2年夏と甲子園に3度出場。通算5試合で18打数6安打の数字を残したバットコントールと、50mを5秒8で走破するスピードを高く評価し、ドラフト会議で4位指名した鈴木へ、西武の編成部も「三拍子そろった、将来の切り込み隊長候補」と期待をかけてきた。 2年連続で開幕一軍を勝ち取ったものの、昨シーズン同様になかなか出番が訪れなかった鈴木にターニングポイントが訪れたのは今月10日のロッテ戦だった。今シーズンから加入したスパンジェンバーグのバットが1番を務めた試合で69打数16安打、打率.232と湿ったままだったこともあり、鈴木が代役として固定されるようになった。 「自分のスイングをすること。自分の間でどんどん野球ができればいいと思っているので、まずは自分の力を発揮して、あとは頼るところは周りの先輩方を頼っていけたら、と考えています」 自分なりのトップバッターとしての心得を明かした鈴木は、続けて起用されてきた直近の9試合で39打数13安打、打率.333の好成績を残している。不動の1番だった安打製造機、秋山翔吾がメジャー移籍した今シーズン。代役を担えそうな存在は新外国人ではなく、秋山の背中に憧れ、今年も自主トレをともに行った若手のなかにいた。それでも辻監督は「将平はいま勉強中です」と苦笑いする。