西武に出てきた”ポスト秋山”…高卒4年目”新戦力”の鈴木将平はいかにしてヒーローになったのか?
左打席で見せる思い切りのいいスイングとは対照的な、はにかんだような笑顔がカクテル光線に映える。プロ野球選手になって4年目で初めて受けるヒーローインタビュー。埼玉西武ライオンズが待ち焦がれていた新・切り込み隊長、22歳の鈴木将平へ万雷の拍手が何度も降り注いだ。 メットライフドームで21日に行われた千葉ロッテマリーンズとの6回戦。9試合連続で「1番・センター」で起用された若獅子のバットが勝ち越しの犠牲フライを、そしてダメ押しの2点タイムリーを生み出し、西武を8-3の逆転勝利とロッテを抜いての3位浮上へと導いた。 「いい流れで前のバッターがつないでくれたので、自分もそのままいい流れで初球から打てました」 先輩たちが生み出した勢いに乗れた、と振り返った勝ち越しの犠牲フライが生まれたのは5回裏だった。先頭の5番・森友哉の内野安打、中村剛也のヒット、栗山巧の四球で作った無死満塁から、コーリー・スパンジェンバーグが右前タイムリーを放って3-3の同点に追いつく。続く木村文紀の送りバントで一死二、三塁と再びチャンスを広げた場面で、3度目の打席が鈴木に回ってきた。 前の2打席は辻発彦監督をして「内容が悪かった」と言わしめた、空振り三振とショートゴロに倒れていた。それでも慌てることも、ましてや弱気になることもない。前進気味のポジションを取っているロッテ外野陣の位置も把握しながら、鈴木は自分らしさを出すことだけに集中した。 「自分の持ち味は初球からどんどん行くことなので。相手の守備陣形も見えていたので、とにかく強く振ることを心がけました。メットライフドームのファンの前で打点をあげられてよかったです」 ロッテの先発・美馬学が投じた初球、132kmのフォークボールが真ん中高目に甘く入ってきた。集中力を研ぎ澄ませていた鈴木が、相手の失投を見逃すはずがない。慌てて背走したライトのマーティンが何とか大飛球をキャッチする間に、三塁走者の栗山が楽々と勝ち越しのホームを踏んだ。