41億円が水の泡…なぜ住之江GP優勝戦で4艇転覆のボートレース史上最悪の大返還が起きたのか?
大惨事というしかない。ボートレースの第36回グランプリ(SG)の優勝戦が19日、大阪市内のボートレース住之江で1800メートル、3周のコースで行われ、圧倒的な人気を背負った1号艇の峰竜太(36、佐賀)が1周1マークでターンマークに接触し横転する大クラッシュを起こした。後からきた3艇が転覆して、6艇中4艇がゴールできなかった。3コースから全速ターンを決めた瓜生正義(45、福岡)が1分52秒7で優勝し、白井英治(45、山口)が2着に続いたが、3連単などは不成立。ボートレース史上最悪となる約41億円返還の大惨事となった。一体、何が起きていたのか。
1番人気の峰が妨害失格
その瞬間、ボートレース住之江に詰め掛けた1万人のファンから悲鳴が上がった。 まさかのアクシデントが発生したのは勝負所の1周1マーク。単勝1.0倍という圧倒的な1番人気に支持された1コース1号艇の峰が、3コースから“ツケマイ”と呼ばれる強烈な捲りを放った瓜生に飲み込まれたのだ。 「決まったなと思った」 手応え十分の瓜生の攻撃に賞金レースでトップを走る峰でも焦ったのだろう。1コースからのスタートは決して悪くなかったが、瓜生の全速ターンがあまりにも鋭すぎた。必死で応戦しようとしたものの、いつもの冷静なハンドルさばきは影を潜め、あろうことかターンマークに激突。これに後続艇が相次いで乗り上げ、大クラッシュとなった。2コースから差した丸野一樹(30、滋賀)、5コースからまくり差しを狙った平本真之(37、愛知)が次々と乗り上げ、6コースの毒島誠(37、群馬)も避けきれずに巻き込まれた。 瓜生が単独で悠々と逃げ、続いて白井が追うが、もう他のボートは見当たらない。6艇中4艇が転覆したことにより、券の売り上げの大多数を占める3連単、加えて3連複も不成立となり、発売額の96%にあたる41億1426万3700円が返還されることになったのである。過去のワースト返還は、2002年の宮島グランドチャンピオンで西島義則と熊谷直樹の2選手がフライングを切り、24億3513万3800円の返還があったレース。だが、今回はその額を大きく上回る史上最悪のレースとなった。 あと1艇でもゴールしていれば、舟券がすべて成立していた。それだけに主催者サイドは、大痛手だろうが、瓜生の頭から3連単の舟券を買っていたファンからすれば、“師走の夢”が泡と消えたのだから悔やんでも悔やみきれない。 スタンドの悲鳴は、やがて罵声交じりのタメ息に変わってしまった。