41億円が水の泡…なぜ住之江GP優勝戦で4艇転覆のボートレース史上最悪の大返還が起きたのか?
トップスタートを決めたのは、勝負に出た4コースの5号艇の白井だった。しかし、これを3コースの4号艇の瓜生が受け止めて、伸び返し、鮮やかな“ツケマイ”を決めて見せたのである。 波乱を生み出した白井は、2着に終わったレース後、「足を重視して乗り心地が良くなかった。こんなレースになって残念」とやるせない表情だったが、勝利への執念はだれにも負けていなかった。白井は、元々、スロースタートを得意としており、進入の“前付け”の戦略を取ることで知られるレーサー。初タイトルに向けて仕掛けるのも当然だった。 約41億円の返還となったが、レースは成立し、グランプリに勝ったレーサーだけが手にすることのできる「黄金のヘルメット」を瓜生がかぶった。前日の6着で4号艇になっていたが、エンジンの仕上がりは悪くはなかった。プラスして見事なスタートと、ハンドルさばきでの全速ターンだった。 これで5年ぶり2度目のグランプリを制覇。SG11勝目とした45歳のベテランは「信じられない。事故が起こったので複雑。4人が心配です。今年は、結果が残せずモヤモヤした1年で、活躍した感覚はなかった。ただ、11月くらいからエンジンも動いてくれだした。違う流れ、運がむいてきた。ツキがあったと思う」と、控えめの笑顔でレースを振り返った。賞金総額は、約1億8000万円となり、峰を抜き一気にトップに躍り出た。 6人のレーサー全員が最後までギリギリの勝負にこだわったゆえに大波乱となった1億円バトル。転覆した4人に大事はなかったことが幸いで、多くのファンが、「想定外なのがギャンブル」と割り切った表情で、最後には勝者の瓜生に熱い拍手と声援を送っていたのが印象的だった。