球宴HR競争1回戦敗退でも全米報道は大谷翔平“一色”「番狂わせ」「素晴らしい物語」「優勝せずに球宴の夜を制す」
メジャーリーグのオールスターゲームの前日に行われるホームランダービーが12日(日本時間13日)、米国コロラド州デンバーのクアーズフィールドで行われ、日本人選手として初出場したエンゼルスの大谷翔平(27)が1回戦でナショナルズのフアン・ソト(22)と対戦、再延長にもつれこむ激闘の末に敗れた。 優勝賞金の100万ドル(約1億1000万円)を手にしたのはメッツのピート・アロンソ(26)。昨年は新型コロナの影響でメジャー球宴が中止となったためアロンソは2019年以来の連覇となった。大谷は、今日13日(日本時間14日)の本番で、メジャー史上初となる「1番・投手」の“リアル二刀流”で先発出場する。日本人投手の球宴先発は1995年の野茂英雄(ドジャース)以来。またDH解除が適用されない特別ルールが採用されることになった。
「疲れた。あと何秒?」
さすがの大谷も力んだ。体が開きバットのヘッドが下がるポイントが早いため打球が上がらない。1球、2球、3球と、ライナー性の打球が続き、1本目をマークしたのは10球目。ホームラン打者が陥る最悪パターンである。先行のソトは22本。ブレークをとり、残り1分20秒の時点でわずか5本。「疲れた。あと何秒?」と、つぶやいた大谷は、ここで敗退かと思われたが、そこからが凄かった。 475フィート(約145メートル)以上の飛距離アーチを放った選手に与えられる1分間のボーナスタイムを含めて怒涛の攻勢でついに追いついたのだ。1分の延長戦ではソトが6本、大谷も6本で決着がつかず“激闘”は、ついに3スイング勝負の「スイング・オフ」にもつれこんだ。 先行のソトは3発すべてを放り込んで大谷にプレッシャーをかけた。1本でもミスをすれば終わりになる。その1本目。大谷の打球はまた強烈なゴロ。あまりの疲労にぐったりとした大谷だが「勝ちたかったけれど楽しかった」と笑顔。第1シードとして最後に登場した大谷は敗れても、お祭りの主役だった。米メディアは、この結末を「番狂わせ」と捉え、敗れた大谷にフォーカスした称賛の記事であふれた。 地元のロサンゼルスタイムズ紙は「大谷がソトに1回戦で敗れる中でホームランダービー劇場をもたらす」との見出しを取り、ホームランダービーの様子を記し、「左打ち強打者(の大谷)はダービー前の練習では状態が良さそうでウォーミングアップでの最後のスイングで3階席に大きな当たりを放った。だが、開幕戦以来フィールドで打撃練習に参加せず、代わりに打撃ケージで練習をしている大谷にとって、本番が始まると、型にはまるまで時間がかかった」と伝えた。 「(1回戦で敗れ)彼のダービーは終わった。だが、彼のミッションは達成された。結果がどうであれ、大谷のダービーでのモチベーションは、ただ勝利を目指すというものをしのいでいた。彼は投手としてだけでなく、史上初の日本の強打者としてこのイベントに参加した初の選手にもなったのだ」と絶賛。