女性たちが避妊・中絶薬を買いだめるアメリカ、生殖の自由と権利はどこへ?
アメリカでは今また、多くの女性たちが新たな現実に直面している――。受け入れざるを得ないその状況をもたらしたのは、2024年11月5日(現地時間)に行われた大統領選。ドナルド・トランプ前大統領が勝利し、2025年1月に再び大統領として就任することになったことで、生殖に関する権利(リプロダクティブ・ライツ)とそれに関連する医療(リプロダクティブ・ヘルスケア)へのアクセスが影響を受けることは、ほぼ確実となっている。 (トランプと、副大統領になるJ・D・ヴァンスを含む)保守派が思い通りに政策を進めていくのであれば、アメリカではすべての州で、あらゆる避妊方法へのアクセスが相当に困難になったり、大幅に値上げされたりすることになる。そのうえ、中絶は完全に禁止される可能性がある(詳細については後述)。
こうしたなか、多くの女性たちは自分自身と家族を守るため、必要な薬が手元にない状況に陥るのを避けるために、経口避妊薬と緊急避妊薬(プランBなど)、そして経口中絶薬の「買いだめ」に急いでいる。
例えば、新たに発足する政権は「信頼できない」というレネー(35)は、「かかりつけ医に処方箋を出してもらいに行きます。プランBも、もっと買っておくつもりです」と話している。 すでに対策を講じたというニコレット(23)は、「予定より早く、IUD(子宮内避妊具)を交換してもらいに行きます。念のために、プランBも注文しました」と述べている。また、シドニー(25)は、大統領選の投票日の朝に処方箋をもらいに行き、6カ月分のストックを追加したという。 アビー(25)はIUDを交換したうえで、経口中絶薬をストックしておくという。アメリカでは2021年12月から、中絶薬「ミフェプリストン」の処方と郵送での受け取りが、オンライン診療で可能になっている――アメリカ中の人々が、リプロダクティブ・ヘルスに関するそれぞれの将来を、これまでになく不安視している。