「世界に1台」トヨタの名車が98%ノーマルで現存 亡き妻もお気に入り「たくさんの思い出があふれてくる」
妻の葬儀後、家族そろって最後のドライブ「思い出があふれて」
車には、幼い頃から子どもたちを乗せてきた。長男、次男には車好きの遺伝子が引き継がれていると実感している。 「子どもたちに特別何か残してやれるものはないんだけども、セリカだけは残すことができてよかったなと思っています。形あるものの中で、このセリカがいちばん思い出や価値が詰まっていると思います。他にも骨董品やアート作品などがあるんですけれども、やっぱりこの車の存在が最も大きいですね」 最愛の妻は2021年に他界した。葬儀の日、重永さんは火葬が終わると、遺影を持って子どもたちとセリカに乗り、“最後のドライブ”に繰り出した。家族全員でセリカに乗ったのは約30年ぶりのこと。交代でハンドルを握りながら、おのおのが妻・母との思い出を語り合い、“家族5人”で写真を撮った。 「あの時はああだった、こうだったって、たくさんの思い出があふれてくる。やっぱりこの車が1番思い入れがあったので」 重永さんはディムラー・ダブルシックス・アーデン、BMW・760Li、トヨタ・ソアラと合計4台を所有。その中でもセリカは特別な1台だ。 「当時は今では考えられないような独創的なスタイルの車が世に出ていました。セリカにしても、フェアレディにしてもそうでした。最近は車好きが喜ぶようなワクワクするデザインの車が少ないですよね。採算性や機能性など、いろんなことを考えるとそれが当たり前で、メーカーからすれば冒険をしたくないんでしょうけれども。でもまたいつか、このセリカのように世の中をあっと言わせるようなすてきな車が出てきてくれたら面白いと思うんですよね」と期待を込めて結んだ。
水沼一夫