「世界に1台」トヨタの名車が98%ノーマルで現存 亡き妻もお気に入り「たくさんの思い出があふれてくる」
夢は「いつかトヨタの本社にこのセリカで訪ねて行くこと」
30代半ばで薩摩川内に戻り、しげなが歯科医院を開業。3人の子どもが成長していくと、セリカを運転する機会は少なくなっていった。 「11年ぐらいガレージで眠りっぱなしの時がありました。子どもが同じ時期に学校に進学したんですよ。そしたら学費がめっぽうかかるんですよね。で、恥ずかしいことにその学費の捻出のために、この車も手放したほうがいいかな、と思うぐらい苦しかった時期があったんです」 それでも、やがて子育てが落ち着くと、再びセリカのことが気になり始めた。 「あの時セリカを手放さなくて、本当によかったと思います」 一時期登録抹消していたこともあり、新車時のナンバープレートは交換となったが、ワンオーナーとして現在まで乗り続ける。これまでに事故や大きなトラブルなどは「1回もない」。しかも、98%オリジナルで維持している。 「残りの2%は何かというと、8トラックです。従来、カーオーディオといえばCDやカセットテープですよね。そのもっと前は8トラックのテープが主流だったんですよ。その8トラック、本体が大きい弁当箱みたいな装置だったんですね。当初はついていたんですが、8トラックのテープがだんだん入手困難になり始めて、いよいよ手に入らなくなった段階で8トラックの本体を外してしまいました。それによって新車購入時のオリジナルの姿ではなくなってしまいました」 黒い樹脂製のシフトノブは木製に変更。また、サンバイザーも微調整を行っている。 「今でも後悔しているんですけど、右の後ろのサンバイザーを少し短くカットしたんです。左は純正のままの寸法なんですけど、右がちょっと寸足らずのサンバイザーになっちゃったんですね」 現在、パワーウインドーやエアコンの動作不良があるため整備中で、それ以外のところも含めて、完全なオリジナルの姿での復元を模索している。「いつかトヨタの本社にこのセリカで訪ねて行くことが夢だけど、その前にできれば当時の姿、100%に戻してあげたいと思っているんです」と、オリジナルの完全復活に意欲を見せる。