公務員なら一発でクビ、医師なら医業停止…「金を払えば済む」では済まないスピード違反のペナルティ一
見通しがよく、空いている道路を、多くのクルマが法定速度を20キロくらいオーバーして気持ちよさそうに走っていく……そんな光景は珍しくありません。 【図表】超過速度別のペナルティ例 しかし、超過速度別の取り締まり件数(2023年、警察庁)を見ると、実態としては超過20キロ以上25キロ未満で捕まっている人が最も多く、29万2723件。次は超過15キロ以上20キロ未満で27万7769件。この20キロ前後の超過だけで、全体の3分の2近くを占めています(合計は88万8500件)。多くの人が「これぐらいなら大丈夫」と思う速度帯こそ、取り締まりのボリュームゾーンなのです。 ちなみに15キロ未満の超過の件数はわずか78件。逆にいえば、15キロ以上超過しなければ、取り締まられる可能性は低いでしょう。 ■反則金と罰金の大きな違い ペナルティは超過速度によって異なります。超過30キロ(高速道路等では40キロ。以下同)未満はいわゆる青切符が切られ、「反則金」の納付書が交付されます。郵便局か銀行で納付すれば処理は終了。金額は道路交通法の施行令で定められており、普通車は9000円から3万5000円となっています。 実は納付は任意ですが、義務と思い込んでいる人が多いでしょう。もちろん納付しなければより面倒なことになるのですが、それは後で説明します。 超過30キロ以上になると、いわゆる赤切符を切られます。赤切符は反則金では済まず、罰金刑の対象となります。 では、赤切符を切られた人と、青切符を切られたが反則金を納付しなかった人はどうなるのでしょう。この場合、事件の書類が警察から検察へ送られ、検察官が起訴か不起訴かを決めることになります。起訴は2種類あり、一つは略式起訴。これは本人の同意が必要で、法廷は開かれません。もう一つは正式な裁判としての起訴です。 略式に同意すると、待合室で少し待ち、窓口で罰金を払って帰ることになります。後日の支払いも可能です。ただし、略式とはいえ罰金刑となりますので、「前科」がつくことになります。 前科がつくといっても日常生活に大きな影響はありません。しかしその後、死傷事故などで起訴されると、検察官から「被告人は交通罰金前科一犯」と言われ、確実に不利になるでしょう。