メタQuest 3Sは結局「買い」なの?Quest 3との「スペック格差」を実機で検証
仕事以外にも使える「ある用途」
こうした活用例の一方で、そもそもQuestシリーズはVRゲーム機のイメージが強いため、ゲームをやらないビジネスユーザーは縁遠く感じているかもしれない。しかし、Quest 3Sは上述した仕事での利用に加えて、健康や趣味といった幅広い用途にも使える。具体的には、たとえばフィットネス、スポーツ、アート、音楽のトレーニングなどである。 筆者は子供のころは不器用で身体も弱く、スポーツ、アート、音楽はすべて鬼門でコンプレックスだった。大人になってから少し経験が広がったが、Meta Quest のVR/MRアプリのおかげで一気に世界が広がった。 VRの学習効果の高さについては、すでに大学や企業で多数の研究成果があり、没入感や繰り返し体験できること、インタラクティブ性などが学習における利点と言われている。実際に筆者も使用していて、その学習効果を強く感じる。 フィットネス分野では、アプリの種類が多くメタも米国では買収してきた自前のサービス『Supernatural: Unreal Fitness』を提供しており力を入れている。特に多いのは有酸素運動を行うアプリで、『LES MILLS DANCE XR』のようにインストラクターが現れて指導するタイプと、『FitXR』のように飛んでくる目標を叩いたり避けたりするリズムゲーム型がある。リズムゲームとの違いは失敗してもゲームオーバーがなく音声で励ましてくれることだ。 一方、スポーツ分野では格闘技と球技のアプリが多い。ボクシングで打ち合う『The Thrill of the Fight』は本格的で汗びっしょりになれる。球技は『Eleven Table Tennis』で苦手だった卓球ができるようになった。『First Person Tennis』『GOLF+』も実際のスポーツに近い体験ができる。 純粋なスポーツではないが、『リアルVRフィッシング』(釣り)と『MiRacle Pool』(ビリヤード)も再現性が高い。 そのほかに、お絵描き系のアプリも多数あるが、すでに絵が描ける人向けのものが多い。筆者は油絵を学べる『Vermillion』を始めたばかりだが、楽しく油絵の腕をあげられそうだと感じた。 そして、音楽系のアプリでは、仮想キーボードでピアノを練習できる『PianoVision』が代表だ。パートごとに繰り返し練習する機能や暗譜させる機能があって、経験ゼロから本当に両手で弾けるようになってくる。『Paradiddle』も本格的なドラム練習が可能で、フットスイッチをUSB接続するとバスドラムやスネアのペダルも練習できる。『Tribe XR』は実在するDJ機器を使ったDJプレイを学べる。また、11月にはiPhoneなど各プラットフォームで人気のDJアプリ『djay』のMeta Quest版も発売された。