「オワコン」と思いきや、実際はインバウンドで大盛況! あの「カタログ通販の会社」がホテル事業で大きく成長していた
主とする事業が社会的背景から斜陽となったとき、企業はどう立て直すべきだろうか。カタログ通販で知られるベルーナは、その見本となる事例の1つかもしれない。 前期(2024年3月期)、約2080億円の売上高のうち、実に262億円をホテル業で稼ぎ出し、右肩下がりの通販事業を支えている。国内外に22施設を所有しており、うち5施設は北海道に。インバウンドの増加に伴い、まだまだ業績は伸びそうだ。 通販会社が、なぜホテル事業でこれほどの成功を収められたのか。異色の成長戦略に迫った。 【画像】ベルーナが運営する、“絶景”なホテルたち
■9年で300億円増加したプロパティ事業 「定番のアイテムがカタログで安く買える通販会社」。 中高年の読者の多くは、ベルーナにそんな印象を抱いているのではないだろうか。筆者もその一人だった。 しかし同社は、2006年にホテル事業に進出。いまやモルディブからワイキキ、スリランカまで、海外4施設を含む26のホテルを経営するホテルチェーンとしての顔も持つ。 では、「通販会社のホテル」とは一体どんなものだろう。
【画像で見る】ベルーナが運営する、“ロケーション最高”なホテルたち ベルーナの社長を務める安野清さんに尋ねると、国内に所有するリゾートホテルは、「旅館のおもてなしとホテルのきちんと感、その中間の位置づけ」だという。心なしか、同社の親しみやすいカタログのイメージを彷彿とさせる。 一方、ベルーナが「都市型ホテル」と定義する施設は、ビジネスホテルに大浴場、バー、レストランなどを充実させて少しグレードアップしたデザイナーズホテルを指すそうだ。
国内に8軒、コロンボに1軒ある「グランベルホテル」をメインブランドに位置づけている。海外に持つリゾートホテル3施設は、「ラグジュアリーブランド」という位置づけだ。 平均客室単価は2024年9月現在で、都市型ホテルは平均1万8000円、リゾートは一人当たりの換算で1万2000、1万3000円~3万円。客室に露天風呂が付いていたり、面積が広い部屋なら3万5000円程度まで上がることもあるという。 ■利益面で大きく会社を牽引