メタQuest 3Sは結局「買い」なの?Quest 3との「スペック格差」を実機で検証
「視野角の狭さ」は気になるのか
では、液晶と同じく性能を左右するレンズの形状については、Quest 3SとQuest 3でどう異なるのだろうか。 Quest 3のレンズは薄くてスイートスポット(焦点の合う範囲)が広いパンケーキレンズなのに対し、Quest 3SはQuest 2と同じフレネルレンズを使っており、Quest 2用のレンズアダプターがそのまま使える。 Quest 3の視野角が水平110度、垂直96度なのに対し、Quest 3Sは水平96度、垂直90度。Quest 2は水平90度、垂直90度だ。横方向の視野角はQuest 3SがQuest2より広い。これは3機種を同じ画像で比べてみても明らかに感じる差だ。メタへの取材でも、Quest 3Sのプロダクトマネージャーは「(Quest 3SとQuest 2の表示系は)よく似た技術」と表現し「同じ」とは言わなかったので、Quest 3SとQuest 2の表示系は完全に同じではないのだろう。 Quest 3SとQuest 3におけるこの視野角の差は、アプリケーションによっては使い勝手に差が出る場合がある。ただ、致命的な差ではなく、Quest 3Sで首を上下左右に振ればカバーできる程度のものだ。 また、Quest 3のパンケーキレンズは、Quest 3Sのフレネルレンズに比べて歪みが少ないのも利点となるが、両機種ともGPUで歪みに合わせて画像を補正している。Quest 3とQuest 3Sに採用されているSoCは、Quest 2世代に比べてGPUとAIのパワーが強力だ。Quest 3Sの場合はソフトウェアによるチューニングによって、少ない歪みと高い解像度感を保っているのかもしれない。 パンケーキレンズは、物理的な利点として本体を薄くすることも可能にする特徴がある。Quest 3はQuest 3Sの4324mAhよりも大容量の5050mAhというバッテリーを搭載しているにもかかわらず、本体の厚みは1.5cmほど薄い。 ただし本体重量はほぼ同じで、装着感はQuest 3Sのほうが不思議に軽く感じる。また公称バッテリー駆動時間もQuest 3Sのほうが約18分長い。