メタQuest 3Sは結局「買い」なの?Quest 3との「スペック格差」を実機で検証
メタからMR(Mixed Reality、複合現実)ヘッドセット「Meta Quest 3S(以下、Quest 3S)」が発売された。Quest 3Sは、上位モデル「Meta Quest 3(以下、Quest 3)」が7万円超えなのに対して、約3割の価格低減を実現した「普及機」に位置付けられる。数字上のスペックはQuest 3に劣る部分もあるが、果たしてQuest 3Sは「買い」なのか。実際に両機を使用してわかった同機種の「本当の実力」を解説する。 【詳細な図や写真】Quest 3S(左)とQuest3はスペック上の共通点も多い(写真:筆者撮影)
最上位モデルから「35%オフ」のQuest 3S
メタによるMRヘッドセットのQuest 3Sが、10月15日に発売された。1年前に登場した最上位モデルのQuest 3は、仕事にも使える本格的なMRヘッドセットとしての実用性が評価されたが、128GB版で7万4,800円という価格に手が出しにくいと感じた人も多かっただろう。 Quest 3Sは、同じ128GBモデルなら4万8,400円と1年前のQuest 3の35%オフの価格となった。今回は、Quest 3Sを実際に使い込んでみた結果を、メタへの取材内容も含めて紹介していきたい。 Quest 3SとQuest 3をスペック比較すると、VR(Virtual Reality、仮想現実)/MR性能の要となるSoc(System on Chip、CPU、GPU、NPU、センサー処理、通信機能などを統合した集積回路)とメモリ容量、そしてMRで外部の光景をディスプレーに映し出すRGBカメラの画素数も同じだ。VR/MRでは音も重要だが、スピーカーのスリットの形状が同じで音質も同じに感じる。
Quest 3SとQuest 3における「3つの違い」とは
では、両者はいったいどこが違うのだろうか。 Quest 3SとQuest 3の主な違いは、液晶の解像度、レンズの形状、そして深度センサーの有無の3つだ。この中で液晶とレンズは、ヘッドセットの性能を左右する重要な要素である。 まず液晶についてだが、Quest 3の液晶は片目2064×2208ドットなのに対して、Quest 3Sは1832×1920ドット。これはQuest 2と同じ数字で画素数はQuest 3の約77.2%。Quest 3SはQuest 3の8割弱の解像度だ。 VRヘッドセットには、画質を左右する要素として、視野角1度あたりの画素数を表す角解像度=PPD(Pixel Per Degree)という単位もあり、Quest 3が25PPDなのに対して、Quest 3SとQuest 2が20PPDとこちらも8割の性能だ。 Quest 3Sの20PPDは、Quest3と見比べると「ちょっと解像度が低いかな」と思う。しかし、その差は少ない。感じ方には個人差があるので難しいが、知り合いやネットの意見を総合すると「違いは確かに感じるが、大きく体験を損なうことはない」という程度だ。 ちなみに人間の裸眼は60PPD程度で、Questシリーズの競合製品となるApple Vision ProのPPDは公開されていないが、IFixedItは34PPDと計算している。