「子どもの視点に立った調停をしてほしい」長期化する離婚・面会調停、当事者が家庭裁判所に望むこと #こどもをまもる
「家裁は対立型ではない合意形成を支えて」
家族法に詳しい二宮周平さん(立命館大学名誉教授)も、「家庭裁判所の福祉的な機能の一部を民間団体に委託することは、有効な手立ての一つだと思います」と話す。 「韓国では、家裁が離婚前の親ガイダンスを行いますが、カウンセリング等は家裁が委託した外部機関が行っています。日本でも家庭裁判所と外部機関が連携する仕組みをつくることは、現行法のもとでも十分に可能です」 家裁の裁判官の異動サイクルが早いことも、改善の余地がある。 「赴任して数年で異動になるので、裁判官が家事事件に必要な専門知識を身につけられない、あるいは身につけてもすぐにいなくなってしまう。それも、子どもの視点がないがしろにされがちな理由の一つなのです」 台湾では、家庭裁判所の裁判官は、自分から希望しない限り、異動することはない。韓国でも、最長7年まで同じ裁判所にいることができる。 「家庭裁判所はほかの裁判所と違い、司法的機能と福祉的機能を併せ持ちます。問題を法的に解決するだけではなく、当事者や子どもが幸せに生きていくために必要なサポートをする役割を担うべきなのです。離婚をしても父母が親として子どもの健全な成長を見守り、支える責任があります。家庭裁判所の裁判官も調査官も調停委員も弁護士も、対立型ではない合意形成を支えてほしい。それが何より子どもの利益につながると思うのです」 ---- 「子どもをめぐる課題(#こどもをまもる)」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。子どもの安全や、子どもを育てる環境の諸問題のために、私たちができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。